「魍魎の匣」の映画版、というより、 監督・脚本の原田さんが「魍魎の匣」を読んで頭の中でアレンジというか再構築した映画、という感じで、だから映画ファンには不評で、原作ファンには好評なんだろうな。
私は滅多に映画を見に行かないのだけれど、この人生2度目の映画(1回目はスターウォーズ)で気付いたのは、
私は物語を読む時、 頭の中で確固たるイメージを持って読んでない
ということで。 ハマれば読んでる時に声を想起するくらいに自然にハマるんだけど、 たぶんそうでなくとも無問題みたい。
そうは言っても突っ込み所はある。
▼背景
上海であって日本じゃないんだから最初にそんなに長く町の風景を映さなくても。 紐繋がりで靴磨きのシーンはあったか。
▼榎木津
戦争シーン。今川とかいないのか?そもそも榎木津って海軍だろ。ちなみに私が好きなのは榎木津が頼子の頭を撫でるシーン。と久保のチューブを抜き取るシーン。
探偵事務所には「薔薇十字探偵社」とかでっかく書いたガラスドアがほしい。
▼陽子さん
黒木瞳~?30代とか、ましてや20代ってムリがあるだろ。 研究所の彼女のいる部屋に6枚の几帳があるけど、あのまま「あなたが、蜘蛛だったのですね」とか京極堂が言いだしても不思議じゃなかった(でもあの雰囲気好き)。
▼木場修
要らない人扱いじゃん。列車のシーンとか、何で青木さんが代わってるの。。そこは一応木場修のシーン…。
陽子相手だとツンデレ。映画館で泊まり込みとかありえないって。映画館のオヤジが日本の警察に絶望するよ。あんな傍迷惑な観客。
最後とかちょっと不死身すぎでしょう。何でまた上に上ろうとしてんのさ。
▼関口
鬱の猿男のイメージなし。意外にちゃんとこちら側を生きてるし、お茶煎れるし、てきぱき動いてるし。配役がきびきびした方ですからねえ。
衆議院解散とか知ってるし(あれって吉田茂だよな…じゃあ日本は占領下じゃなくなってる訳で、別にGHQっぽさを出さなくても…)
最後に鎖にぶらさがってる京極堂を助ける(というかくるくるしてる)シーン。「あ、やっぱだめだ」はないでしょう(笑)それに対する「君ならできる」「君には無理だったか」という京極堂も京極堂だけど。
それに雪絵さんが篠原涼子とか…ありえん。ちょっとこれはさすがにイメージが…。さびしそうで、疲れていて、でもほんのり『タツさん』な雰囲気なんです私の中では。あんなキャピってない。
▼頼子
なんであれほど「皰」を嫌がったのか。天人五衰とかの話が出ない映画ではちょっと唐突。 「加奈子にあってはならないものよ」ってかなりヤバい子じゃないか。お母さんを責められないよ。
しかし「死んでもいい」と思っていた彼女は何であのとき久保に食らい付いたんだろう?あれか、紐結んでもらった恩で榎木津を助けたのか?
▼敦子
頑張ったな敦っちゃん。二階堂に蹴られても(二階堂って結局何の役割だったんだろう) 。無駄に青木さんとの恋愛フラグが立っていた。
▼加奈子
最後の「ほぅ」がね…やたら悪評だったけどやっぱり…
唐突に言われたって!結構うまく原作と乖離してたのに最後にそれはない!!
▼美馬坂
柄本さん、よく時代劇に出てくるんだけど、 長い台詞をあれほどなめらかに言って意味がちゃんと理解できるっていったいどういったしゃべり方なんだろう。すごい。
しかして彼が諸悪の根源みたいな演出は…。
久保に執着しすぎ。 まるで加奈子より久保が(個人として)大切に見える。
▼匣
匣にみっしり詰まってたのは最初ののシーンだけな気がする。 人体実験失敗作の匣だってスカスカだし、 最後の久保だって、顔がチューブに繋がれて浮かんでるだけで。 頼子ちゃんのはちゃんと詰まってたけど、何も腕とかあんな風に放置しなくても…。その腕も作り物っぽいし。
バラバラにするのは匣にみつしり詰めたいからなのに…。
▼京極堂
動いてるよ彼が。なんでいつも動かない彼が階段を登り切れるんだ。
京極のところに集まる必然性が弱い…狂言回しっぽい。
やたら(3回くらい?)「この世には不思議なことなど何もないのだよ」と言ってるけど、決め台詞は決めの場所で言ってくれ。
自室にも意外に本がない。もっと埋もれてていい。
美馬坂のシーンは上ってくまでが長いし、憑き物落ちきってないし、不完全燃焼。
御筥様のくだりはノリが「百器徒然袋」だった。亀山歯ブラシって連呼しないでくれ、爆笑しそうだから。ってかフラメンコではもう噴出。
全体として前半がちょっとぐだぐだ気味。
ちなみに限定「御匣セット」が19800円でびっくり。え、御筥様並みじゃん。
次は狂骨で骨骨骨…あれってかなり映像化するとなるとマズいシーンが多そうだけどどうするんだろう。
その次は坊主坊主坊主…