燕?SWALLOW? 硝子の街にて(7) (講談社X文庫ホワイトハート(BL))
- 作者: 柏枝真郷
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/10/25
- メディア: Kindle版
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タイトル、燕であるところの人はこの物語中にたくさん出てきますね。ミステリと登場人物をこういう具合に混ぜてくれるこの作者さんの力量はすげえと思います、いつもながら。
ノブ。アイデンティティの確立のため、そして20歳寸前に逃げてきて、今まで一度も振り返ることのなかった日本について深く考えるために。それはいわば日本にいて、流されて生きてきた自分との決別であるとも思えるし、実際最終的には決別したわけですから、ノブ本人が決別する意図で帰らずともそういう意味をもった帰国?になったかと。
ノブのお父さん。駐在員であったこと自体もそうでしたし、それからノブのお母さんと別の方との間を行き来する燕であった人。
賀田山匡、彼も駐在員で燕のような存在でした。ただ彼自身は別にそれを思って逃亡したり奥さんもそのせいで自殺したわけではないと思いますが。事件を追ったシドニーが勝手にそうやってシンクロしただけですね。
シドニーはついに日本にまで来てしまって挙句することが相手の父の許可って(いや仕事仕事!)よかった!お幸せに!
燕は、文中でおじいさんが語っていたように、「決してその気でいるわけではないが、それでも来ると知らず知らずのうちに他者に貢献していることもある」存在。
ただシドニーにとってのノブはもうそういう存在ではなくなっていたわけですねー。もう向かうところ敵なしじゃん。
南●物語に関しては…たぶん動物を愛護する方はかわいそうに思うのでしょうかね。知りませんが。私はそういう考えは嫌いなので。人間も動物ですし、その中で生き延びる方法を人間は編み出していき、その恩恵を被って生きているのですから、しょうがないことだと思います。感動するのは一年後にもう一度行こうとするその人間の根性というか向上心ですけどね。そのある意味極限状態の中でタロジロのことをその場で思いやる気力があったこともすげえと思う。