姫神さまに願いを 〜夢路の剣〜 (姫神さまに願いをシリーズ) (コバルト文庫)
- 作者: 藤原眞莉,鳴海ゆき
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2000/03/31
- メディア: 文庫
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『玉女』を求めた九郎ちゃん。念願成就への道。九郎の念願は、兄の代わりにすべての業を背負って死ぬこと。
「扇討ちが神への反逆になる」とたとえ知っていたとしても、九郎ちゃんは討った気がする。神に反逆するとか、そういうすべてを引き受けたかったと思う。兄の代わりに。…やだもう可愛い。
あとこの腰越状の意訳に涙が出るほどに笑いました。そ、そですね。
「この九郎のものになりませんか?」九郎のものになる、ということは玉女を得るということ。それは結局、兄の役に立ちたいからで。「やっと、九郎を殺してくださるのですね」
「九郎は、兄上に愛されているわ。今も、昔も、これからも」
義経には、安らかな夢路を。それがせめてもの報酬だと。
鞍馬出身であるということは、「お山」の情報網も持つということ。お山、というのは、時の朝廷とは相反するもの。そこのつながりがあるとすれば、本気になれば九郎も弁慶もあっさり逃げれたような。
平家に忠誠を誓う弁慶はそもそも九郎を殺そうとした。「九郎は、おまえという男がいなければなにもできなかったよ」「あなたはいつもそうやって、無防備なまでに私を信頼していた。だから殺せなくなった」「…また随分とユカイな成り行きだな」ちょっと、弁慶、崇徳院に天狗の力をもらいながらなにやってんの。ユカイすぎるわ。
苦労したのは弁慶であって、九郎は己の不遇をダシに人に甘やかされてここまできたようです。爆。いやいや九郎ちゃんらしいですね。
「お前、尊い主を万年発情期男のように罵ったな」
「長い髪の女をこっぴどく泣かした経験はない?」「いやー、ありすぎて全然わかりません」「あーほら、おみっちゃんがあきれて帰っちゃったじゃないの」…ときどき思うが、テンにおみっちゃんっていいようにこき使われてないか?
前に、くもんかなんかの伝記漫画の九郎がすっげ美人で、ストーリー的にもガチで判官びいきで、みたいなのに、北の方が男装して平泉までついていったっていうのがあって、ちょっとどうしてくれよう、って思った。おもしろすぎるんだけど。
静はただ九郎ちゃんが好きだった。でも愛していたのは「舞」だった。命を賭したいものは九郎ではなかった。それでよかったのだ。奔放さに魅かれたのだから。
そして九郎は静に、戦場でしか能のない、呪いを背負う覚悟のある身でも、未来に命を残せるかと求めた。彼の名は死してなお、永遠の命を授かった。
「自由で奔放な人だから」自由は命はただ、夢に眠る。
政子ちゃんがトモと出会ったきっかけは「妹から夢を買ったから」…この伝承、なんなんでしょうか。
「愛のために魔道に堕ちた女」と言いきった政子ちゃんがすごい。そもそもこの時代に愛なんて言葉は…いや、ま、いいか。
政子に己が夢を託して、自分と、自分の子孫が業を背負う。うーん、きついな。
懐かしい将門様ー☆もうね、このシリーズの中の将門様大好きですから。
秀衡様…というか奥州藤原氏がそういう血だったとは。なるほどね。でも確かに、蝦夷、という地は、いつでも、今でも、特別だと感じる。ていうか、秀衡様、超格好いい。
マナとアラヤになるかと思うと、「夜の露は苦く死ぬ」って書いててもしゃーないですね(え)