天地人雑感

■企画意図

上杉謙信を師と仰ぎ、兜に「愛」の文字を掲げた兼続は、その波乱の生涯を通じて、民・義・故郷への愛を貫きました。

「利」を求める戦国時代において、「愛」を信じた兼続の生き様は、弱者を切り捨て、利益追求に邁進する現代人に鮮烈な印象を与えます。

大河ドラマは、失われつつある「日本人の義と愛」を描き出します!

 

故郷を全力で愛したのはわかるんですが(最後に越後に帰ってたしね)、その越後から去らなきゃいけなかった理由ももうちょっと考えてみるといいと思います。それ考えたら絶対「愛と義が大事」なんて言ってられないから。

「利」を求めたのいつの時代もそうだと思います。でも、利を求めて人の上に立ったら、義を大事にしないとどうにもなんなかったと思う。それこそ戦国時代だったんだから。

弱者を切り捨てる現代人なのは日本が民主主義だからです。でもなんでその主義をとったかって言ったら戦争に負けたから。世の中、勝てば官軍なんですもん。視聴率がよかったのも勝てば官軍ですもんね。

日本人の義と愛って盲信者につきあって敗北して貧乏の中にもひとつの天下があるって自己満することだったのか。

 

なんかね、それ自体はまあ昔からよくある話だと思うんですが、その企画意図がキライなんです。私。そりゃこの大河嫌いなはずだ。

日本人はまじめだから過労とかになっちゃうし、民主主義に放り込まれて失ったものがあるのかもしれない。

でも私の周りにいるのはそんなタイプじゃないんです。ゆとり。もっとできるのに。過労も日本独自の言葉っぽいけどゆうてNEETもぽいと思うのは私だけですかね。働いたら負けですって、いやいやちょっと。

息抜きをすることと抜きッぱなしなのは違うでしょ、って思う今日このごろ。自分にリミットかけるのは嫌だ。頑張れる限り頑張ろうよ。出来ないことはあるけど、努力しないのは違うでしょ。

負けてまあまた一から頑張ろうって思うのと、負けたけど俺は正しい!って言うのは違うでしょ。一人で気炎吐いてなさいよ。時代はあなたを置き去りにして進むから。小さくまとまることが良いことだなんて、断じて思いたくない。大きくなる努力は常にしなきゃいけないと思うのだ。

 

■制作にあたって(byチーフプロデューサー

 

自分が正しいと信じたことを守り抜きました。それゆえ、目立った勝利を収めることも、大出世をすることもありませんでした。しかし、そのように地に足のついた「まっとうさ」ゆえ、謀略をめぐらせ利を得ることが第一であった戦国時代において、非常に特異な存在感を発揮したのです。

その魅力はまた、利益追求に邁進し、「品格」を失いつつある現代社会の我々にも、鮮烈な印象を与えます。

合戦や政争で負けた人はどんな人たちだったのか。どんな理由で戦い、なぜ敗北したのか…。特にその部分に光を当てながら戦国時代を捉えなおしていき、これまでとは違ったイメージの大河ドラマをお見せ出来ればと思っています。

 

自分が正しいことを守り抜いたら勝利も出世もないのですね。なにがどう「まっとう」だったのか。なんか最初と最後は納得できるのに途中の理論構成がおかしい気がする。敗者の視点から歴史を書くのは本当に素敵な試みだったと思うのです。価値観が広がるから。でも所詮敗者、でしょ。なんで敗者になったか、その後どうなったか、も大事じゃない?今が戦国だと思うならなおさら。歴史から学ぶってそういうことではないですか。

 

■演出にあたって(byチーフディレクター

直江兼続の掲げた「愛」にはいろいろな解釈がありますが、私は「ラブ・アンド・ピース」の「愛」だと信じて疑いません。鉄と血の匂いに満ちた猛々しい時代に、どでかい「愛」の一文字をカブトに掲げ戦場にくり出した兼続の度胸を想像してみて下さい。兼続をここまで大きな人物にしたのは何か。私は断言します。彼を育んだたくさんの愛、彼が心に実らせた豊かな愛が、彼に比類のない勇気と自信と誇りを与えたのです。それは、裏切りや謀略をくぐり抜けてきた人間のしたたかさとは全く違うたぐいの強さです。だからこそ、兼続の生涯は戦国の世でことさら異彩を放つのです。

たとえ天下がとれなくても、一番になれなくても、人は「愛」を貫けば誰よりも格好良く生きられるのだ!

兼続の人生は、そんな胸熱くなるメッセージに溢れています。

 

なんばーわんにならなくてもいい、もともととくべつなおんりーわーん

とりあえず疑ってください。戦国時代に「愛」なんて概念はありません。い、いやまあ物語の軸としてあの愛は愛染明王とかそういうのじゃなくてloveって解釈したいのよ!っていうなら勝手なんですが。なんかこう…。

どでかい愛の一字を兜に掲げて評価できるのは彼が風圧に負けない子だったってことぐらいじゃないですか。首を支えた筋肉、並大抵じゃないと思う。ていうか前線に出なかったんだろうな。誰か、自分の信じる神の偶像を兜につけてた人もいたし、それと同じテンションじゃないの?少なくとも毘沙門天の化身と明言する人が近くにいたんだからしょうがないよね。そのキチガイっぷりはさ。

カッコよさを求めてたわけじゃないと思うの。兼続さんだって、そんなことを思ってたわけじゃないよ、たぶん。

 

■脚本家の言葉(by小松江里子

この大河を書き始めるにあたり、何か全編を通じたテーマが欲しいと思っていました。兼続の掲げた『愛』の精神はもちろんですが、その愛を支えるドラマテックなエピソードを描いてみたいと。

それで、紅葉を上杉の侍の生き様と重ね合わせ『紅葉の教え』としたのです。紅葉で散り行く葉は、来たる冬に備えて幹のため犠牲となっていく自然の刹那な姿です。それこそ、義を重んじ、上杉のためには自らの命も差し出す覚悟で挑んだ侍の姿であるのではないかと。

そして、もう一つが『北斗の誓い』。北国には古くから伝わる北斗信仰があります。北の空に輝く北極星を王とし、その回りで輝く北斗の七星は、その王を守る武人にも例えられているのです。

この侍としての生き様と背負った宿命の中で、兼続が愛の兜のもと、苛酷な戦国をどう生き抜き、景勝と共にどう上杉家を守り通していくのか。

その心を大事にし、観て下さる人たちが共感できる、語りかけるような戦国大河になればと思っています。

 

語りかけるような戦国大河って概念がなかった私は初っ端から彼女に屈していたのだと思います。

もみじの話はまあいいですが、本当にあれはモンスターペアレンツへの嫌がらせかと思いました。記録に残らなくていい、でも誰よりも記憶に残りなさい。そう、主君さえも食って!

あと北斗の誓いとかすっごい最初に出てきて以来忘れていましたが、七星っていうなら七人ほしかったなあって思いました。上杉の家臣団の数は少なすぎてしかも全員学芸会みたいだったからな。愛情もわかなかった。

上杉を守ったのかなー…あれ。うん、まあ、ね。はい。もういいです。他山の石としたいと思いますから。

 

しみじみ時代考証をなさった人の言葉を聞いてみたかったと思いました。主に駿河浜松城について。なんの嫌がらせであったかと。

 

■アンサイ

「わしは、こんな作品、見とうはなかった!!(涙)」(歴ヲタ)

「わしは、こんな作品、出とうはなかった!!(血涙)」(上杉景勝

「わしは、こんな作品に、出れなくてよかった!!(安堵の涙)」(前田慶次

このドラマは、風林火山のようにごく少数の人間の支持のみを優先し、大多数の人民を完全に切り捨てたものではなく、大多数の人民のことを第一に考え、隅々に至るまで丹念に作られた真の民主主義・友愛精神的ドラマなのである。

勝てば官軍である。(大事なことなので2回言いました。)

アンサイって、天才ですよね。まあそうですよね。視聴率がよかった成功作ですよね。中身が大事なんじゃない、愛と義が大事なんじゃない。そう、勝ったことが事実だ!!

宮本信子

作中最強の武将。色々と不都合な上に予算のかかる合戦や内乱を、その饒舌な語り口で次々と片付けていってしまう恐るべき将。その獅子奮迅の活躍のおかげでどーでもいい兼続とお船たちの日常シーンを細やかに描写することが可能となった。

本当にこの人すごかった。そ、そうですね、って感じでしたもん。