スパイラル~推理の絆~

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アニメのEDが好きでした。

一日をこんなに長く感じるのに 一年がこんなに早く過ぎてしまう 一年をこんなに早く感じるのに 一生をどんなにうまく生きれるでしょう

長い一日を持てあますことではなく。早く過ぎ去る一年を嘆くこともなく。一日一日をしっかり生きる。うまく生きることを考えるのではなく、一日を生きることを考えろ。

 

絶望の中の希望。

歩は最後までそれに固執したし、それは結局周囲を不幸にしたくないという気持ちからではなかったか、と。最後まで自分自身の幸福に関しては希薄だった気がする。それは何回がひよのにどつかれていたことだったけど。

孤独の中の神の祝福。

人は皆孤独で、ブレチルだって歩だって結局は一人で生きていかなければならない。孤独の中で。その中で幸福を見つけろ。それは個人の義務だ。

そう考えると、歩の希望になるという行為は随分と他者に優しい結末です。

 

もともと歩の兄貴コンプレックスは、私の姉貴コンプレックスと似通っていたのですな。6巻まで中一の時に買って近所のマックで全力で読んだのもいい思い出です。そういえばスレイヤーズも姉コンプレックスから始まったこともあったし、我ながらちょっと人格にゆがみが生じていたような気もします。ま、姉貴が家を出てから性格が変わったと言われるゆえんですね。

中学の時に漫画を読んでいたら、一度も喋ったことのない子に「アイズ君カッコイイよね!」と叫ばれたのもいい思い出と言えますね。

 

その清隆はまあ最悪なやつですよね。自分も含めたブレチルの抹殺。俺は天才だしこの状況を打破するにはもう俺が死ぬしかないだから歩殺してって…ええいこの中二病め!!

結局彼は希望を信じていなかったし、そのことに関しては未来も発展性もない彼を、私は天才とは呼びません。

くるみちゃんの言うことは当たっていたと思う。「おまえは最低だ。人を幸せにするなんて、一生できない」くるみちゃんはこれからはブレチルを知りつつ生きていくと思いますが、あの鳴海の野郎!と怒鳴りながら頑張っていってくれることでしょう。

 

カノンとアイズ。カノンも最期は、希望を信じたわけだし、アイズはもっと昔から知っていて、それでも静かに状況を動かそうと頑張った。決して希望を捨てることなく。だからアイズ君はむしろ清隆よりもよっぽど強い子だと思うのです。

 

そしてひよのちゃん。ひよのちゃんは時限爆弾のおとりになるわブレチルの背後を取るわスタンガンを使うわ警察の内部知りすぎだわリスカも辞さないわ…ってんで、しかもヒロインなので、最終的には敵のスパイでしたよーとなると思ってました。「企業秘密です」って、あ、それは秘密ですな神官を思い出します。

最後の歩とひよののやり取りはほほえましいですね。戦友のようで。

俺はやっと自分の音楽を取り戻したんだから。(なんかちょっとゴッドチャイルドのラストの、俺たちはもう~さまよい続けることはないんだから、を髣髴とさせて切ない。俺たち、カインにはリフがいたけれど、とー様にさえカインやイブがいたけれど、歩はやっぱり孤独なのだ)

でも「どんな時も俺を信じてくれた奴とのすべてまで失うから」と。この時点では歩はひよのについては読んでいたわけであり、その上での台詞だから、これはひよのの存在がたとえ清隆からの贈り物であったとしても、何者であるか、ではなく、どんな存在であったか、を示しているのかな、と。そういう意味では、ひよのもある意味クローンたちと同様な、オリジナリティに欠けた存在であって、そのひよのを肯定したということは、歩の理論の一端でもあったと思うのだ。

だいたい清隆も切り札がひよのちゃんとはちょっと甘すぎるんじゃないか?と思うのだが。

その絶望の中でどうして立っていられる?「悪いがそれは、企業秘密だ」ごまかす時のひよのの常套句。ひよのが清隆の手の者であっても、それ以上の行動をとっていたことを歩は受け止めたんじゃないかしら。

 

誰が決めた。誰が運命だと決めた。定められたことだと誰が決めた。どうしょうもないと誰が決めた。持ち続けろ、希望を。

最初から最後まで、菖蒲の花ことばを通じた主軸がブレなかったのはすごいと思います。ちょっと最後の理論構成はきつかったけど。