なつのひかり

 

なつのひかり (集英社文庫)

なつのひかり (集英社文庫)

 

 江國香織さんのファンタジー。たぶん。ファンタジーじゃなくても別にいいけど。(いやそれはないが)

 幸裕にはヒモの素質があると思う。働くけど、ヒモ。

 

そして順子さんは哀しい。おまじないに頼るのも、ひろさんを閉じ込めるのも、過去を大事にしてるのも。

それにしてもなんで最初のあたりで順子さんにバラされたら身の破滅、とかそういうことになるんだろ。

 

遙子さんは最強。好きだからだね。

 

めぐちゃんはすっごく可愛い人で、不味いお食事を作ったりして、一種の宗教感で生きている気がする。

 

そして栞は洋一との出会いやらトイレがどうのとか色々あっても、野菜売り場でのんどり暮らしてるからいいねえ。

 

なんだか江國さんの作品、レモン色の綺麗な話がいきなりどかーん!とすごいネタで崩壊する(不倫とかさ)時があるんだけど、このお話はそういうのなかったなあ。

どんどん夢を生きているというか。女の子系の雑誌に載っている生活をするのは、それはそれでいいと思う。ただそれが無理な人間がしてると痛々しいけど。

街全体が女の子な街を見ていたら、力が抜けたのかもしれない。都会じゃなく、田舎でもなく。(チェコのことだ)

 

なにも探してないし、この一種の停滞感ある生活をのぞんでいたけど、栞はヤドカリに導かれて歩き出した。ヤドカリについて教えてくれたのはおばあちゃんで、たどりついた順子さんの部屋からはヤドカリが大量に逃げ出してしまう。

わかったようなわからんような。昔だったらもうちょっとわかったのかな。なにも変わっていないと思いつつ価値観が少し変わったことに驚きだ。