勝浦の残照

名古屋からワイドビュー南紀で3時間以上、むしろ大阪経由の方が本数があるという隠国、熊野に行ってきました。
今回お世話になったのは、JRの「南紀・熊野古道フリーキップ 中辺路コース」。ワイドビュー往復の指定席と紀伊勝浦・新宮・熊野を乗り降り自由付きで¥9500。ワイドビューだけでも高いのになんて太っ腹なんだJR。

授業終了後、ワイドビューに乗って紀伊勝浦駅まで行きます。連れは一般人2人。ぐだぐだ喋ってるうちに到着です。(だいぶん長かったけどね!)
紀伊勝浦駅といえば、もう改装されてしまってテレビの無くなった待合室とか、駅前のKioskとか思いだしますが、改札から出ると外国人のツアーの方々がいらっしゃって、ようもまあこんなところに…と思ってしまいます。最も私もヨーロッパでは「世界遺産」という言葉に魅かれて訪れた場所もあったので、外国からいらっしゃるのも当然、といったことろでしょうか。
Kiosk前に足湯があり、今日はもう宿に到着するだけなのでのんびり入る。参拝後に入ると気持ちいいですよーというおばちゃんとお喋り-はいいのだが、タクシーの運ちゃんが「ホテルまでワンメーターだよ」と言ってくるのは連れに任せてしまった。だってそういう営業的会話苦手なんだもん。ワンメーターくらいなら歩くし。
しかしそのおっちゃんと話ていた連れが、「瀧見たい!瀧見る?」と大興奮。いやいや那智まで来て瀧見ないとか何しに来たかわからんからね。でもスイスで滝と洞窟に興奮したのはほかならぬ私なので、その気持ちはわかるーと返しておく。
駅から駅前本通りを通って(でもさーこういう世界遺産の駅前の通りにあんなぴかちゃかした看板をどーんとおかないでほしい。那智黒有名なのわかったから、みたいな。だってこういうところに来る人ってやっぱり、純日本、みたいなものを求めてると思うのに、イメージ壊れるじゃない。歪んだイメージと言われようとも、世界遺産に選ばれた限りは気を使ってほしいです)、ついでに宿で飲むべく酒(那智の滝)とつまみを買いこんで、今日のお宿であるところのサンかつうらに向かいます。
基本的にホテルは一人だったら平気で安さ重視のビジネスに泊まるのですが、今回は熊野古道語り部ツアーつきということで選びました。那智湾から太平洋が見える立地的には最高。温泉も露店風呂もあって、夜朝昼食ツアーとついて、梅酒の飲み比べまでして1泊¥12750。個人的にはおいしーと思ったんですが、どうでしょうね?
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夕方の18:00前だったんですが、もう残照。熊野の山に沈んでいます。
誰そ、彼は。そんな時間。
残照はどうにもあの二月堂が有名ですが(私の中で勝手に)、たとえばオーラバとか、他の小説にもよく出てくるんだなあと思います。残照というものの揺らぎというか、もう二度とこの美しい一瞬は訪れないからこそ、その一瞬一瞬がいとおしい、というような。
胸を打つこの美しすぎる最後の瞬間を、ともに魂に灼きつける…
こんなことは奈良ツアーで語れということですけれど、私にとってこの直江は難しい。もろもろの浄化という雰囲気すらあるように思える。もう二度と同じ空は見れないけれど、その美しい空、あなたを愛しいと思う気持ちを、あなたと共にしたい、という純粋な願い、祈りにも思える。まあ直江が、ただこの空をあなたと見たいという単純な想いかもしれないのだけれど。さいごの瞬間。ううむ。
でもそんな綺麗なものじゃなかったような。彼らが共にした想いはそんな、残照のような綺麗な祈りだけではなかったと思うし、だからこその祈りかもしれんけど。
虹の泉でのあのシーンは、めちゃめちゃに綺麗だったけど、うーん、ファイナルステージでの高耶さんは綺麗すぎて、あがいていたのが直江っぽくて、もう思いっきり俗物な私はファイナルでは直江と一緒に高耶さんの背中を追っていたようなもので。虹の泉で二人にしか行けない世界に行かれてしまったような、そんな想いも確かにあったように思う。…そんなのこっちがZOKUBUTSU☆だからしょーがないのだがな!