ローラ・ビーチ

ローラ・ビーチ。

木下牧子混声合唱組曲「ティオの夜の旅」の中の1曲です。

作詞:池澤夏樹

この曲は、私にとっての「岬の家」なんです…。

  

  

  人の目が見ていなくても 風景はあるものだろうか

のソプラノの問いかけで始まります。

  

  貝の螺旋 月蝕ごとに珊瑚が育つ 魚の側線 暴風の暗夜 水

  珊瑚を砕き 砕けて砂 白く 淡く

  

  積る千年―――

この詩をきらきらした旋律で歌うんです。

積もる千年。

21巻の高耶さん祖谷の単独ライブ(爆)が終わったあとの、

「―残響する、祈り。」

「千年ここで眠り続ければ、石になれるのだろうか…」

という、そんな心境です。

  風のあとがつき また風に消され 波が浸す 時が満たす

  ゆっくりと日時計 潮の暦日

永劫とも思われる長い長い時間。その時間を、変わりなく海はたゆたっているのです。

40巻の「たぶん地球の終わる日も」海はこうしている、そしてその海が直江の誓いを聞き届けた。そんな永劫を。

――高耶の中では、ずっと海が、鳴っていた。

海というのは、私の中では、永劫の、象徴みたいです。

  

  ゆれている ぬるい浅い水

  誰も憶えていない 誰も気づかなかった その一日 どの一日

  誰も計らない時間 太陽が沈みかけ 水がまた染まる 誰もみていない

  光が勝手にあふれているだけ 一日

たとえば、21巻で高耶さんが直江とこんな場所に来れていたら。

たとえば、40巻後に高耶さんが望んだ直江との場所がこんな場所なら。

…誰も見てないからってイチャこいていれば…ッ!(おい)

そして最初の問いに対して、最後に

 人の耳が聞かなくても 風は椰子の葉を鳴らす

と答えがきます。

人という存在がなくとも、存在は確かにある。そういう解釈もできます。