燔祭の丘

 

燔祭の丘 建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社ノベルス)

燔祭の丘 建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社ノベルス)

 

 

14時からの教授の授業が16:30からになり、暇すぎてついに500ページある「燔祭の丘」を読みきった。

始終手に汗握って、挙句にやにやっぱなしでした。篠田先生お疲れ様でした。そしてありがとうございます。

 

色々と叫びたいことはあるのですが、なにはともあれ、まずは言いたい。

栗山深春ばんざい!!おめでとうお幸せに!

最終巻に蒼や京介を探す中で着々とフラグを立てていた深春さんですが、いやあよかった。シリーズの清涼剤的な存在深春さんがリア充になれて心底よかったと思う。おめでとうございます!

 

次に京介と蒼。いやもう信じられないくらいのラブラブっぷりを見せ付けてくださいました。

いったい北海道のどこでやっていたか知りませんが、蒼が十字架にはりつけられたとか、そこまでぼろぼろになって行く京介とか(しかもはだし)、そして目も見えないのに触れば蒼ってわかるとことか、挙句

「目を開けて、僕を見て!」

で見えるようになる京介とかなんですかもう!!好き過ぎる。

京介の過去については、シリーズでずっと「なんだろう?」って考えていて、それが事件や人殺しに絡むってこともなんとなくわかってはいたけれど、その事件に京介が全く絡んでないことはないっていうのに安心しました。こういう場合、主人公が罪だと思っていたけど実は罪じゃなかったとか何にもしていないとかただの勘違いとか、「君は悪くない」的なのがセオリーだと思うんですけれど、それだとこれだけ引っ張ってきた伏線がどうなのよと思うじゃないですか。少なくとも講談社ノベルズ、篠田真由美にはそんなストーリーは似合わないと思っていたので、よかったです。

 

神代先生はモイラと一緒にいられたらよかったのにと思うことはあります。モイラと神代とが夫婦をしていればいいのに。でも夫婦は栗山夫妻がやってるからいいのかな、もう。ずっと京介たちの保護者だった神代先生がこうなったというのがなんか感慨深い。頑張ったね蒼!

 

翳んの行方を私は地味に心配していたのですが、まあそういう回り道も芸術家にはつきものだから。頑張れ。

 

京介は父を「殺す価値もない」と認識することで、父を乗り越えた、ということでしょうか。グレゴリさんはそういう意味では「家」に囚われた人だったし、読んでいたときに思ったのは、「家」を形作るのはもちろん「建築」もそうなんだろうけど、(だから「いびつ」というキーワードがあったわけだし)、「血」っていうのもそうなんだろうな、と。だから建築は、建築様式だけでなく、中の血筋的なことも象徴してるのかな、みたいな。ちょっと何言いたいのかわからんくなったけど、まあそんなことです。

だから京介が深春や蒼や神代と「疑似家族」を作ることが出来たのはすごく価値のあることなんじゃないかしらと思うのですが…どうでしょ。

 

閉じられた場所での惨劇。あの学園も、「建築」であって、その建築が壊れた廃墟も空に嘆いていたのかなあ(Horrowでノブが感じてたように)

しかし相変わらず中二病で嬉しいよアリョーシャ。ニキ。彼だか彼女だか知らんが、(ついに統一されなかったなあ)過去の惨劇から抜け出れたってことでいいですか。

 

ああそれにしても京介が!変態親父の手にすでに堕ちていたなんて!あれ、未遂じゃないよね?未遂かな?ロザリオ守ってくれた?

神代の発言にも吹いたけど。

 

京介は最後そりゃあ去らなきゃいけなかったけど、モイラもそうだったのかな。彼女もグレゴリに縛り付けられた人なのか、それとも京介に縛られた人なのか、財産はどうなったのか、モイラって結局生きてそうっていうか生きてればいいと思います。

そして蒼に介護されてうはうはしてた京介さんどうされましたかwまあ気を抜いていられたんだと解釈します。

京介にとっての蒼と深春がどれほど大きな存在だったかって気分になりました。あれだけのことがあったあとに、深春が絶叫してるのに京介が「エ…」みたいにつっこんで、「あ、こけた」とか清涼剤すぎる。

 

まあこの後栗山夫妻は子供を育てるだろうし、京介は神代家で家政夫やる予定らしいし、…と思ったらもうスピンオフ、ああ昔掲載したやつが出るっぽいとか何事。