獅子喰らう

 

炎の蜃気楼幕末編 獅子喰らう (コバルト文庫)

炎の蜃気楼幕末編 獅子喰らう (コバルト文庫)

 

 

なんかすごい勢いですね台風。久しぶりに本州直撃って感じ。

そしてその台風がまだ10代のナンバーということに驚愕ですよ。あんまり台風が発生しなかったのか、それとも気象台がさぼったのか…(なんてこと)

ぼんやりと「野分…」と思ってみてましたが、確かにこの勢いならうっかり紫の上も見えちゃうよ。夕霧って本当にアレなお父さんを持った割には比較的まともな人生歩んでるよな。

 

さてさて、直江のつるっぱげとか、直江が年下とか、いろんな物議をかもした幕末編です。

個人的には幕末という時代、池田屋事件、あのあたりはもういくつもの物語を読んできたと思ってるまかせんしゃい、レベル…なはずでした。

だがしかし。大久保忠寛って誰だww

私の幕末の知識ってこんなにも偏ってたんですね…新撰組に。

 

獅子喰らう

誰が誰を喰らうんだろうって超絶期待しながら読んでたのに、別にそんなに喰らったりも喰らいそうになったりもしてませんでした。ちえ。

 

人斬りカゲトラ。誰も漢字変換出来なかったんですか?w

あの時代には人斬りと呼ばれる人たちがたくさんいました。もちろん私的には河上彦斎が一番です。むしろ抜刀斎が一番です。異論は認めない。あとあんまり映像化も認めない…。

 

少し精神的に参っていた景虎様。もう終わりにしてもいいですかって思っていた彼を、使命にひきとめているのは直江だって直江は思っていたけれど、結局それは景虎様の心根の問題なんだから、あんまり直江に罪はない。

それでも直江は「自分がそうである」ということを敏感に察知してしまったのだろうし、それはそれで…直江が苦悩する姿が見れて乙ではありますねw

 

あとばらばらになってしまっている夜叉衆の現状を、唯一把握しているのが色部のおじさまっていうところがもう。それ普通大将か、その後見人の役目よね?なんで色部さんがそれしてんの?景虎様が誰がどこにいるか知らないの?

いやまあ景虎様は知ろうと思えば知れる立場にいながら平然としている人に思えますが。

あと幕末編には軒猿組織はなかったのでしょうか。いつから八海は働き始めたんだろうか。幕末ですら出てきてないと思うと、八海は直江に景虎とのことで嫌味なんぞ言う立場にはねーぞ!

 

「枯れた」ってなおえええええ!おまえがそれを言うと洒落になんねーんだよ!

(あのひとは今、どうしているだろう)

その程度か。直江、おまえのあの方への想いはその程度なのか!

いやーびっくりした。本気で死んだかと思った30年はあれだけ狂乱していたくせに、死んでしまったかもしれない、程度のノリなら枯れて過ごすことも出来るわけですね直江さんって人は!

 

「なぜ逃げるのです!待ちなさい、景虎様!」

直江だなあ。この言い方がまさしく直江ですよ。なぜ逃げるのです!って。いや待て、たとえ本気で景虎様でも逃げるよ。むしろ高耶さんでも逃げるわ。おまえ、自分の存在についてもうちょっと考えた方がいいと思うよ。

これを言うあたり、直江は景虎に会って、まさか避けられるなんて思ってもいないわけじゃないの。それがね…青いなあって思います。本編だったら景虎様を追って追って閉じ込めるくらいのエネルギーを見せているのに。

 

触れてしまえば散ってしまうような、それくらい疲れていた景虎様を追うことも捕まえることも出来ないなんて。

直江にもそんな青い時代があったのですね。

当初の目的である越後の怨霊退治の言い訳なんてとっくに尽きて、それでもまだ換生し続けることをやめなかったけど、直江との想いとか確執だけでは全然生きることが出来なくて、むしろそれが疲れる理由になっていた。

っていうか子供の直江をナデナデする景虎様だとおおおおおお!!

すっげえ萌えますね。そんな上から目線。

生きる者が持つ慈愛ですよ。人生に老いた者というか。だってこの景虎様に、性悪な要素が微塵も感じられない。受け受けしくない!

人間年をとるとこうなるんですか。あの直江が全身全霊で想いをぶつけることが出来たのも、そういえば高耶さんが一回リセットしてちゃんと生きようとして17年何も知らないで生きていたからですか。そうかもしれないね。若かったもんなあ。

(救わないことで、あの魂を繋ぎとめていたんだ)

決して彼を任務から解放しないでしばりつける直江っていうのは、そういえば30年前もそうでした。それに誰よりも憎しみを抱くようになってしまったのよね景虎様は。ただあの時は余計に直江への愛がなあ。

っていうか…100年(70年)の間に景虎様に何が。どうしてあそこまで直江への執着が。あと殿は太平洋戦争でも目覚めなかったのに今更何を。

「終わりを見つめて歩く」というテーマは、本編とは同じに思えるけど、ここまで絶望感漂ってなかったよなあ。

 

安田さんは相変わらず安田さんですね…。

この時の安田さんは先見の明があったわけですが、本編でアロハ着てるのは時代が俺に追いつくと思ってたんでしょうか。笑える。

「さーな。あの馬鹿大将、ついに目覚めちまったってところかもな。いろんなイミで」

ごめんいろんなイミで目覚めるにはあと100年くらいかかるんだよ…。

 

私を振り返らなくていい。だが。

いかなる時も、私はここにいる。

 

なんだこの振り返らない瞳。振り返れない景虎様を、本能でわかっていたような直江ってばすげえ。

そして一回直江の手をぎゅっと握った景虎様それは一体…どういう意味ですか…。

 

 

それはともかく、本気出した新撰組でしたね。土方さんと直江の邂逅。

個人的に桑原水菜新撰組と言えば、容赦なくPEACEMAKERの会談が浮かんできます。直江の軍服に憧れたと黒乃さんがいい、まさかの土方さんは直江からみたいなあの発言。

浮かんできたのは直江と土方さんという二大似てる色男なイメージでした。

土方さんだなあ。ちなみに話の端々に出てくるにも関わらずチラリズムな総司さんもお久しぶりです。桑原先生は煽るという行為をわかっていらっしゃる。