来たれ、壊滅の夜よ

エイゼン大好きだ!(この本読んでこの感想とか正直目が腐ってると思う自分)
エイゼンもサウルも大好き!! 

今から●年前、大学というものに心躍らせて東大オープンキャンパスとやらに行った私は、そこの本屋で立ち読みを敢行しようとしてラノベがないことに絶望した時、手にとったのは東大の安田講堂のお話でした。
正直そんな時代があったこと、その本でも読まなきゃ知りませんでしたよ。だって私の歴史は戦前で止まってるからな。 そんな安田講堂を思い出させる、来たれ、壊滅の夜よ。
あれ?なにこの愛憎劇?
ちなみに私よりさらに幼い学生に知ってる?って聞いたら、「あの火炎瓶の?」って返された。間違ってないけど…。 

エイゼンが子供過ぎて夏。
単純な子供の独占欲と破壊衝動が微妙にひねくれた…いやエイゼンはひねくれてはない…じゃあサウルか。
そうか、サウルですね。ひねくれてたのは(消去法)

純粋に育てられたおぼっちゃまが家庭内の事情と恋愛感情でくすぶったものがあったのに、責任感に火がついたが故の行動とも言える。 

今まで本編で繰り返しでてきたサウルとメイエ。メイエの若さが素晴らしい。
エイゼンの中にはもうこの二人しかいないんだなってずっと思ってましたし、これを読んでますますそう思いました。サウルのことがあったからキャッスルに興味を持ったし、きっかけから少しずつ進んで最後にああいう行動を取れたとしても、彼の本質はなかなか変わらないでスパイナーなんでしょうね。
エイゼンの死に際はまttttttttttったく想像できませんけど。馬鹿やって死ぬのもらしくないけど、案外ピロシキみたいに死んでしまいそう。
そういうキャラ殺しちゃう★ってところは作者さんもエイゼンを笑えない。
何の話。 

プライドの高いお坊ちゃんたちの、洗脳された教育を、どうにかするには、壊滅がないとダメだった。そんな気がする。
中二病をこじらせている人が多すぎるぜ。
エイゼンさんは最たるものですが、彼の「こき下ろさずにはいられない」精神は大人になったら大分大人しくなっているのではないでしょうか。ラフィー君くらいだったよいら立ってたのは。
プライドの高さも一級品。自分の恥を認識した、自分が道化と認識した瞬間にキレるところはまったく子供です。
マリアさんはエイゼンに似てるってことは、マリアは結局深入りしすぎた自分が許せなくて壊滅に向かわせたのかな。それが自分に火の粉が飛ぼうとも、そうせずにはいられない。 

破壊衝動に駆られてサウルを止めなかったエイゼン。その彼が「もうおりる」と見放した時、サウルの中で何が終わったんだろう。
彼にはずっと、「もうおまえについていけない」と言ってくれる人はいなかったのだから、誰かに終わらせてもらわなきゃ、自分で終わることも出来なかった。
サウルは確かに自由を持つエイゼンと、それを持たない自分を比較して羨んでいたと思うし、メイエが心の中でエイゼンに惚れていたことに憎しみを感じていたと思う。
裏切ったのは誰だろう。国民の理想を裏切った政府か軍隊か、その彼らの理想を裏切ったサウルたちか、サウルの願いを裏切ったエイゼンか、エイゼンにひかれていたメイエか。
いろんな人がユダに値する気がするけれど、でもユダの綺麗な花が降り注ぐのはサウルだといい。

合理的に整えられた中の、意味のない野蛮性。それはエイゼンとサウルの密会の場で、エイゼンの中にある獣で、そしてそれはきっとサウルの中にもあって、その野蛮性が暴走したのを止めてくれたのは、同じ野蛮性を持つエイゼンだったんじゃないかと思うのです。
そしてエイゼンは臆病で卑怯だからこそ、彼の幸せが変容することが許せなくて、壊してしまったけれど、サウルに永遠の散華が降り注げばいいと思った心は、既に祈りだったのだな、と思います。

 だからやっぱりエイゼン大好き!!