漆の実のみのる国

 

漆の実のみのる国 上 (文春文庫)

漆の実のみのる国 上 (文春文庫)

 

 

もう重定様にしびれておりましたw

いやもちろん暗君…というか、たぶん普通の人だったんだってのはわかります。

だけど、竹俣と行ってきた一年足らず(てか一年で見切りつけるなよ…三年は待ってやれよ…)の改革についてついに家臣がキレた時に、パアンしなかった治憲様もエライし。23歳ですよ?私これ言われたらぷっちんする。絶対する。

そもそもね、これだけ貧窮したのは誰のせいだよ。誰も起死回生の一手を持ってなかっただろ。森だって最初は色々頑張ってたんじゃんまあそりゃあ途中で豪奢に走ったけどさあ!

お前らがやったって政治的によくなるわけじゃないだろっての。

そこで一括した重定様超格好いいわって。なった。なりましたよ…。普通ならここで義理親子のホモが始まりそうなもんですよ。(台無し)

いや始まってたよ。それからこの2人が監察呼んで「これどうなん?」って聞いたりしてどうにか騒動を収めようとしてるところとかもう死にそうでしたよ。

それで最後にドSな命令するとかね…。いやあ戦国上杉狂いとしてはおい色部の名を汚すなよと思いました(真顔)。この騒動外で景虎様とか見てたらどうするん?色部さん泣くで?

そのあとにも「断食決行!」な治憲様止めたりね…。これ別に重定様が止めたんじゃないよ、誰かが「治憲様は重定様の言うことなら聞くから止めて下さいいいいいいい」って泣きついたんだよ…。

最後に看病するところもさ…。治憲様は過去の悔恨からかもしれないけど、重定様はただ善人なんだよ…。そりゃあ君主としては暗愚でだから駄目だったってのはわかるけどさ…!!

いやそのあたりがね、もう萌えて萌えて。くっ…可愛い。

 

それで竹俣が示した漆をメインとする藩再生計画。なにそれ怖い。

いや普通に怖いでしょ?借金だらけ貧乏藩に、さらに借金するんだよ?それでもと取れるとも限らんし、そうでないなら他の貧困にあえぐ藩がしてるはずでしょ?(というか鹿児島がそんなに貧乏だとは思わんかった)

だって無利息になったからって、借金がなくなったわけじゃないじゃん…。

あ、これ当綱の思考かもしれん。

 

しかし治憲様は私長年穏やかな人だと思ってきたけど、実は大胆不敵にハイカラ革命の人だったのだな…。

だってさあ、長年の慣習を無視して、自分が嫡子でもないけど頑張って、挙句家臣の家にほいほい行っちゃうんだよ…。どこの木戸さんだよ…。

んでもう当綱さんが「無理です」という悲鳴を出した時に速やかに聞いてあげるとか君主の鑑。聞いてるの景虎様。

吉江と当綱さんに関してはまあなんというか萌えますよだけど、本当にだけど、治憲さんの心持や如何。

 

ていうかさあ、改革たくさん覚えたけど、どうして結局うまくいかんくなったんかなあって。

だってそれぞれ頭いい人たちが改革したわけでさあ。なんだかんだ黒船来るまでにも色々皆キレてたわけでさ。黒船が幕府瓦解の一手ではあったけど、もともと幕府がしっかりしてれば松陰配下も「俺らがやらな日本が駄目になる」とは思わないですよね?

結局商人、貨幣、経済が動かして行ったんだなあと思いました。(と考えるとこの世に貨幣経済をもたらした清盛さんェ…!)

しかし白河さん可愛いなあ。田沼さんがせっかく吉宗さんが取り戻そうとしてた徳川ひいてや武士の権力や威信を踏みにじる行為をしているのを傍から見ていて、心友と激論を交わすとか幕末じゃないですかくっそwwww

とりあえず農業(基本)→商人から金を借りる→産業を興す→儲ける、が基本方針になった時代なんですね。でもこれはなんだかんだ言って、一応安定してきたからなんじゃないかなって思うの。戦がないから産業も興せる。

徳川さんはそのあたりはいい仕事してるわ。

 

それでさ、最後思うんだけど、結局漆って起死回生にはならんかったのよね?別に米沢藩は相変わらず貧窮なんだよね?史実では知らんけど、まあ善政頑張ってるけど、それまでじゃんね?

でもその希望となった漆の実が、実はまじでしょぼいって知った時の心持、みたいな…。うまく言えんけど…。

どっちかと言うと、治憲様の、周囲に人がどれだけおらんくなっても粘って粘って粘りぬいた根性がすげえよな。あとこいつならやれるっていう希望とか。

 

私はむしろ上米制度とか、受験時代なら普通に出てきた記憶があああったな程度になっていることに衝撃を受けたわよ!!

もうね、確かに認めよう、受験にやったことなんかあんまり社会の役には立たないわよ。だけど知らないのと、あああったなでは歴然とした差が生じるのよ!だから勉強はするべきなの!!

 

ところで。私受験時代にも読んでいた(そして理系にも関わらず面接でこれが好きって語って面接官失笑したんですが)ので、その感想を見てみました。

「鷹山公が目先の損得にとらわれず、50年100年単位で漆を育てて貧困を立て直そうとする気概に感服しました」

…私昔はこんなにまともなこと言えたのに、今となっては第一声が「重定×治憲萌えー!」ですよ時の流れって残酷ですね。

ちなみに今日これ聞かれて一番印象に残ったシーンはって聞かれて思わず当綱の「傲慢のさがだから」と自分の欠点が大局に及ぼす影響を考えて潔く身をひこうとするところって答えたんですけど、えっと私ったらあいつのこと好きだったの…??