三千世界の鴉を殺し 15

 

幸せはスミレの香り クマの形

彼女の本にはアダルトチルドレンたちがたくさん出てきますけど、それがガチでかかれるとこんな話になるんだなあという印象。私は好きです。

彼女の「男」「女」理論は時に溜飲をさげますけど、それを綺麗にまとめた短編という印象。

ライラとカジャがお気に入りですが、その二人が出てこようと出てこまいと、十分魅力的なものが仕上がるので、この人の本は飽きないのです。延々本が出版されないけどね。そのうちおばあちゃんになりそう。

最初のドミニクの「人は自分で変わろうと思わなければ変われない」からの「だから変わろう」結論でした。

ドミニクはさらりと言ってますけど、ライラも結局「自分で変わろうとした」人のうちの一人だと思います。

赦しとは、踏みにじった踵に漂うスミレの花の香り。

色気があってよい格言です。なんとなく言いたいことはわかる。

ワルターもメリッサもそうやって親の恋愛によって傷ついたわけですが、他にもこういう人いなかったっけ?

ワルターの実母の話は歌舞伎町の女王(男ver)だし、ワルターの義母の話は完全に私は大河ドラマを思い出したわけですが…あれは家盛が死ぬことによって母と子の関係性は保たれ、一方で父からの独立のようになっていたと思います。あそこで流れる音楽は好きでした。

メリッサの方は彼女の境遇も相まって、炎の月を連想させました。他にも思い出せそうだけどまったく思い出せない。

ラスト。お、おう…これは結局メリッサ姐さんがほだされたということでしょうか?

西洋洋菓子~の、「トラウマはすぐには解決できない」っていうのが頭をよぎるので、ワルターは少しずつ自分で家族を作っていくしかない、というのは、どちらかと言うとあれを思い出します。ライラの「子供はそうやって親を超えていくんだから」。

まあ相変わらず本編はすすんでいませんでしたけどそれは仕様です(一息)

ライラに本気でプロポーズして断られた。断る気持ちはわかるし、それに関して言うならドクターサイコの「優良物件」という言い方も所詮男サイドからのものなのだなと思ってしまうのですが。。

別に命がけの関係であって監視者になるくらいだしセックスだって出来るけど、魅力的な顔だけど、その性格にぷっつんして怒って許す関係は友人や家族レベルだから出来ることで、旦那…というか家族という組織を共同編成するような人間にふさわしくないんじゃないかなと。。

何よりライラはルシファを愛しているけど、その愛と、ライラが旦那になるに求めている(もしくはその前の恋愛に求めている)愛は、フィリアとアガペーとエロスとかいう差があるんじゃないかなって。

ライラとカジャを私は心の底から応援しております。

ちなみに小林さんの絵。…(ばたばた)(言葉にならない)