邪魅の雫

 

邪魅の雫 (講談社ノベルス)

邪魅の雫 (講談社ノベルス)

 

 

この邪魅は発売までに相当の時間を要したので感慨もひとしおですね。

しかもエノさんの話だと言うじゃないですかー!

 

大鷹さんもどこでどう狂ったんだろうという気がしなくもないですが、でも端的に言えばストーカーですからね。

 

エノさんのかつての彼女であるところの神崎さん、エノさんの出征がなければどうなっているんでしょうか。彼女はエノさんと生きていける精神状態の人ですもんね。

でも勝ち負けでも善し悪しでもない。要するに、ああ、400年足りなかったんだなあと思ったりしました。そういうことだ。

どちらかというと茜さんのやり口に似ていますが、蜘蛛のように張り巡らした茜さんと違い、神崎さんは亡羊としていました。本人の意志は非常に、それこそ茜さんより気が強いのに、それでも茜さんより空虚さが浮き彫りです。

彼女が持っていたのは雫だったんだなあと。

というかこれ次で神崎さんも死んだりしないでよ。エノさんがショック受けちゃうじゃん。

 

郷嶋さんが中禅寺さんとそれなりに仲良しでよかったです。中禅寺さんの戦時中の話もきらきらしたことがあったっていいじゃないですか。堂島大佐とか、美馬坂さんとかに囲まれてたなんて可哀想過ぎる。

 

「家族というのは、気に入りの鞄なんだよ」あー関さんわかる。わかります。私にとってもそうです。重いです。家族がいなかったらきっともっとちゃらんぽらんに生きてた。なんかこのあたりの関さんの発言わかる。存在していることを忘れることが出来るくらいの人間だからまだ私はいいけれど。

 

「そりゃあ僕はこんなだが、昨日今日の付き合いじゃないだろう」すっげ、関さんが攻めに見えたわ。

この、なんだかんだエノさんや中禅寺と同じ大学に合格した理系関さんは好きです。あの人割と頭はよかったのよねたぶん。