真紅の旗をひるがえせ

「可能性を奪うことが救いになることもあります」っていう直江の言葉をよく考えます。
これなかなか出てくる言葉じゃないよ。
可能性を奪ってあげることで救いになる。
色部さんの「チューブを抜く覚悟が私にはなかっただけ」という言葉と表裏一体。

もう助からない人への告知と似ている。いや、もう何をやっても助からない方ならまだいい。でもわずかな可能性があるけど、その可能性がほぼないような状態で、それが苦痛にしかならない選択肢を、果たして我々は取るべきなのか。取るべきではないと思います。私は。
でもそれは私の概念にすぎないので、他の方々、もっと健全に生きていらっしゃる方々はどうなんでしょう。
ミラージュでは裂命星を奪われた直江が今度は布都御魂へ可能性を見出したように。
「私は可能性を見出してしまう人間です」あなたの中から。
この言葉の誓い通りだし、それが直江という人間でありますけど。
そしてそういう直江こそ高耶さん、というか景虎様は求めていたということでしょうけど。
でもそのために織田に下るとかあんまりなんじゃないでしょうか。高耶さんの意思とかどうなってもいいわけ?って思いました。
高耶さんはそんな直江にブチ切れてましたけど。でもブチ切れることが愛のあかしだからね。いかんね。
そして現実と言う針を呑んでまた歩き始める。
歩けるんだよ…。
普通の人は歩けないよ。だけど。

真紅の旗をひるがえせ。
優しすぎて、ゲイジツ家にはむかねえよ。
無理なことを優しく言ってくれる高耶さん。
でもその高耶さん自身はそういうふうに言ってくれる人を受け入れないわけよね。
この短編は私にとっては重いです。