チーズと塩と豆と

私なんでこの本読もうと思ったのかまったく記憶にないけど、そういう本がたまたまヒットすると嬉しい。
江國さんは知っていても、ほかの角田さんとか井上さんとか読んだことないし、もりえとなんてDIVE!とかそういう時代しか読んだことない。
この話、全部外国の話でむしろそれにびっくりした。最初日本かと思ったら全員外人だったよ。衝撃。

 
神様の庭、と、ブレノワールは方向性としては割と一緒だから、オチもだいたい読めるけど、こういう田舎、というものと食事を結びつけるのはたやすいし、調理をするのはお母さんだし、台所は色んなものがつまった場所だなあという実感がある。
でも「生きるために食べる」よりも「食べるために生きる」っていうのが今の私の心境としてはあっていて、だからこそ、ブレノワールの、「週に1回は」贅沢な食事をしたいってのもわかる。

理由の方が話としてはすごいよね。教師への確かな肉体関係をもった恋と、年齢差によってのこされてしまうことを、それでも後悔しなくても、ミネストローネを作ることをやめられなくて、もう脳出血で起き上がることのない相手にそういうことをしてしまうの。
そして娘がわざわざ性交渉を聞かせるために呼ぶ。娘としては父の再婚相手が自分と同じ年くらいなんてもうなんだこれはって感じだと思う。でも憎いとかそういう感情はないでしょう。おこらないと思う。
もう解き放たれていいというのを、誰が許してあげられるのかとも思うし、実感させるには、これくらいしないといけないと思ったそのエルヴィラの好意がすごい。