炎の蜃気楼 散華行ブルース 舞台の感想

とにかく本編への希望の物語なんだなと昭和編をみることができた。
富田翔さんの演技がすごくてな、この人確かに一人芝居とかめっちゃうまいタイプ。
ラストの「俺たちの最上のあり方を」。ここ笑顔なんだな…って思ってそこで一番泣きました。最上のあり方を、つかめるだろう?ってあの萩で言ってた高耶さん(というか景虎様)は、なんでここまで、今度こそ、って言えるのかって思ってたけど、ここも、そう、いつも景虎様は、最上のあり方を直江とつかめるって、最終的には希望を持っているし、その希望をつかませることが、体現することができるのか直江という男なのだと思うし、彼らの400年なんだと思います。
富田さんのあの、とうとう直江を手に入れた、っていって苦しむところ、本編見たときに一番好きな阿蘇編だったので(いや景虎様がこんなこと思ったってさすがに思わなかったわ)。
(ちょっと思ったけど美奈子が直江にこうされることの苦しさを知っている景虎様が、一番彼が「ひどい」からこそ直江が離れないようにする方法を美奈子に強いた時点で、美奈子と自分をもはや同一化している気はする。)
そして景虎様は謙信公に自分の良心をみている。

12日マチネ参加でした。
だって時間長くなってさすがにソワレは参加できない…新幹線の時間が…くそう…
なんか帝劇とかに慣れるとスペースゼロのあの、講演会でもしてるのかよっていう椅子と狭さにびっくりするよね。これライヴュとか寝言じゃん。
物販や薔薇祭壇とかオタクの夢が詰まってる。そしてメッセージカードとかいにしえの方たちの絵(見ればわかる個人サイト時代のオタク)もあるしなかなかでした。

ストーリー展開としてはほぼ散華行かなあ?取捨選択してストーリーを直高そして美奈子にしぼった感じ。
最初に泣いたのは色部さんだな…真皓き残響からずっと色部さんは、夜叉衆のお父さんだったよ。そしてその色部さんが景虎様に支えきれなくてごめん、でも俺は大将はおまえだと思っているよ、としっかり言葉にして伝え続けてくれたことに、景虎様は本当に、謙信公が何にも答えなくても、救われてたと思うのです。
だからこその砂漠殉教の色部さんからの織田方に下った色部さん、チーム夜叉衆だろ、で救われて、ラスト本当に逝ってしまった色部さんがぶわっと思い出されて泣きました。

それから信長と景虎様のやりとり。飼われた犬だが、いつかお前は自分の本性に気づく。謙信の掌で踊れないことを信長はずっと景虎様に言っていて、阿蘇かよーーってなりました。
信長は自分の一番の理解者になりそうであるくせに(世界を呪って世界から拒絶された)羊を守ろうとする景虎様と相いれたくて相いれないこの状態で、鏡として、景虎様とのやり取りを楽しんでいたのでしょう。
景虎様が結局おれはすべての朽木たちのために戦うというあの理想は、四国編の、ここで待っているからという高耶さんにつながって、景虎様はまだ昭和編では飼われた犬だけど、そういうことは関係なく、弱者、弱者と言っていいのかしら、そういうもののために戦うって、すっと入ってきたので、四国編の彼と昭和編の景虎様はまったく矛盾がない、心根はずっと一緒なんだって思えたのでまた泣きました。
柵の中だけ見てた時は柵の中を必死で守ろうとして、柵の外に出されたら柵の外を必死で守ろうとしただけなんだな。

そういえばいつも高坂みてると「40巻で正体が明かされたが、それまでの行動がエキセントリックすぎて、正体がまったく印象に残らなかった」っていう感想を思い出すのですが、昭和編の高坂まじで働いてるな?景虎様のむしろ参謀じゃない?
そんな彼でもびっくりする自分を産子にしろ作戦。私とワルツを。本編で直江が景虎様の魂を眠らせてあげられたのは本当に僥倖だったわ。

今回一番楽しみだったのが美奈子なんですが、美奈子の体にはいった景虎様VS信長ってどういう気持ちなんだろうなって思ってたら意外と富田さんだったので…まあでもこのサイキックアクションは富田さんにしてほしいよね。
美奈子はずっとスカートですが、あれ以来ずっとパンツなので、そういうところで母になっていくのはすっと入りました。美奈子もある意味子供を産んで景虎様にささげると一種気がくるった発言はしているので、直高もそうだけどそれに匹敵するところはあると思います。だからこそ彼岸花も渡れるし、あなたの願いはきっとかなうなんて言える。「あの人を産むわ」であって、あの美奈子は原作では半分現実逃避のための、それこそ受容の一仮定としか見れてないとは思ったので、美奈子の表情のどこにも狂気の目線がなかったのがな、いまだによくわかりませんが、やっぱりあれは、加瀬さんという愛した男の女となり母になるということがアイデンティティになったから?なのかしら。
でも一瞬ガラスを割れのてちみたいなハンチング帽かぶった美奈子出てきたじゃん?あれもうちょっと見たかったよねかっこよすぎて。

「生きるの!」の美奈子が強すぎた。ハイロー経て冬きみに至ったオタクには刺激が強い。生きるの。美奈子も結局まっすぐそれが言える人だった。
美奈子の加瀬スタイルてちっぽくて興奮するし、てちをザム琥珀さんの投影をすると自分で自分を救える戦うマリアという図がしっくりくるので、最終的に美奈子は強いマリアという結論に綺麗にいたった(ハイローを経て)

あなたの望みはきっとかなう、の美奈子がこれだけぼろっぼろの状態で言うとは思わなかったので、ここがひとつめの「この顔でこれ言う?」シーンでした。
美奈子は直江にそれまではすごくから回った思いやりを見せていたけど、あそこで直江が景虎さまが好きで、景虎さまの想いを美奈子から掻き出したくてそして美奈子を通して景虎さまを知りたい(でいいのかな、原作とちがってそこまで舞台版ではその思いがないようには思ったけど)のかを「十分にわかった」から。だからいいよって言いたかったのかもしれない(これはあまりにも穿ちすぎだろうか)けど、ひとまずそんなことまでもわからなくても直江から景虎さまへの思いを感じたのは事実だろうし、景虎さまから直江への思いはわかったから?の「あなたの願いはきっとかなう」かしら。
でもあまりにも聖母となるにはぼろぼろのかおでいうから、その状態でその台詞を吐ける美奈子が、まだわからない。
美奈子はそもそものお嬢さんのときは直江のことが好きだったもんな(里芋のにっ転がし)。そういう愛を向ける、少女時代は直江のため。だったろうけど、そうじゃない愛はむしろははのような、支えたい愛だったならそれは景虎さまをどういう形であれ支えられたら満足だった?
景虎さまの夢を語られて、夢すら押し潰しえた自分の前に壮大なマウントとられて絶望した直江の相手としては美奈子ってのはとてもわかりやすい象徴だったかもしれないけど、むしろ美奈子と景虎様はそれによって、直江によって、一体化してしまったように思った。

富田さんってものすごく演技力があるとは思うのですが、そんな彼はやっぱり舞台で見てこそなんでしょうね。カテコで麻朝が愛されしポンコツなのはわかったし、そのポンコツ具合に救われているんだなって思いました。なに?我々そんなにみんなお尻かゆくなる奇跡のお客さんだった?
素直にスタオベしたくなる舞台でした。ありがとうを込めて。
景虎様がマリーちゃんにスカートに着替えちゃって、おめかししちゃってまあ、みたいなところ、あー御館組ー!ってなりました。彼らの関係の揺るがなさも好き。
マリーちゃんのみなみちゃんはものすごくマリーちゃんで晴家なので、彼女のやることは私の中では全部正解なのです。可愛い。
あと夜叉衆ってこの期に及んでもみんなで調伏するシーンなくない?と思ったらカテコでやってくれてありがとうございます。そのはけるときにいつも色部さんと長秀がハイタッチするのも好きです。「修理、治部」って呼び合う歴戦の二人。そして400年ずっとある意味対等であり続けた初生人の二人が、ハイタッチするのは完璧だった。

カテコや舞台裏は景虎様が見てる夢だから。

そうだラスト、直江、あのかっこであのサングラスつけてれば橘義明ってみんなにわかるのすごいよねw
そして探し続けた景虎様を見て、あの高耶さんは、でも魂はあの景虎様だから、きっと直江にはそうやって見えていたからの富田さんなのかなって。
まあ富田さんにそこまでちゃばね着せる必要あった??とは思いましたけど。そこでくすっと笑った。

あとは細かい話。
耀変での直江のようにまた直江に選択させる信長ですが、信長様が直江のどこが好きなのかやっぱりわかんないーのよねいつも。
平牧さん頑張ってるけど、平牧さんと麻朝そもそも身長があるから、3列目で見てる私からすれば、手足を持て余してるのよね。あの絶叫とかもあるけどうーーん。
麻朝も確かに長秀なんだけどやっぱり演技力の問題と滑舌。
まっすんは滑舌はまあいいんだけど…信長ってやっぱりザ・信長感出してほしいわ。そういう意味ではハンドウは顔がいい。
色部さんも終盤声かすれてるので頑張って。