BGMはRADの『愛し』でお願いします。
桜庭一樹『私の男』が直木賞とった時はびっくりしました。いや、賞を取ったことにではなく、アレ、この人同一人物だよね的な。直木賞は三浦しをん以来ティーンズ出身をよく見かけるような賞に…。
「ゴシック」は…う~ん、面白くないことはないし、ちゃんと読ませるんだけどなぁ…。 たぶん、「言葉を紡ぐことで世界は構築される」っていうのが、なにか引っ掛かってるんだよな。うん。
あんな青春暗黒小説書く人が36歳。 あまりにも衝撃だった…
さて、この本。主人公ズではなく、ひたすらに私はなぎさ兄が好きでした。神となった兄。
なぎさだけでなく、きっと藻屑の撃った砂糖菓子の弾丸は友彦を撃ち抜いた。そこに救いを見出しました。
うん、なぎさ担任には救いって言い出せないんです私は…。
なぎさは中学を卒業したら、自衛隊に入って実弾を撃ちたい、と。
この話の中に時々自衛隊の話や実弾の話が出てくるんですが、やっぱり現実感はないんです(現実というのは、『亡国のイージス』みたいな感じです)。
それが奇妙に現実とリンクさせていて、なんだか…乾いていると思いました。息が詰まりそうって。
藻屑…すげー名前。父はアイドル歌手で、金持ち。なのに名前は藻屑。
砂糖菓子の弾丸をぽこぽこ撃っているような。腹の足しにもならない。
でもその二つの弾丸を身につけなければ生きていけない。女の子特有だと思います。
だいたい最初にばらばら死体の新聞記事をのっけたあたりからざくざくと暗黒です。ってもうそれ全部やんけ。
妙に甘ったるい表紙も、非現実で。
つまりもう私には二度と帰れないんです。
中高時代はわかっていたつもりだったけれど、それでも過ぎてしまうと切ないです。
親に逆らえない愛情。逆らいたい自立心。言ってしまえば簡単だけれど。
親に愛されていると実感できる自分が好き。親は愛している自分が好き。
でもそれでいいとおもうのです。それを学んで自立できたらいいというのが持論。
ストックホルム症候群というのは…よくわかりません。でも、反論をするというのは、その元の論理について深く考えないとできない。そして、全く誰にも理解されない論理で生きてる人は少ないから、情を感じてしまうのかなあ。
砂糖菓子の弾丸ではなにも傷つけられない。
もしかしたら救えるかもしれないけれど、それではダメなんだ。
そうして友彦は砂糖菓子の弾丸に撃たれ、実弾を撃つようになるわけですね。
ラノベ観としては、私は甘ったれてまだこの年でも医学書とラノベとを同等に読んでいるので砂糖菓子なんです。現実は撃ち抜けない。
精神論でいくら言っても、撃ち抜けないのが、必要な現実。でも日常に必要なのは砂糖菓子でもあるんです。両方手に入れないとどうしょうもない。
この作品に『幽霊列車とこんぺい糖 メモリー・オブ・リガヤ』(木ノ歌詠著、富士見ミステリー文庫)が反論と言う形で紹介されていた。今度読んでみよう。
Because I miss you.
が答えなんですが。
うーん、まあまっとうに考えてまず邪魔になったんだろうな、でもこの流れでそんなまっとうさは要らないんだろうな、って考えて…。
完全に昼ドラな方向に頭がいった私はお気楽者ですね。
砂糖菓子の弾丸じゃ、子供は世界と戦えない。