ギエムファイナル

初めて生見たけど、ギエム普通におばちゃんだった。だって50代なんだものね。
なのにボレロすごかった。あのボレロが見られなくなるなんて。
でもギエムにはいつまでもひょいっと踊り続けて欲しい。

何かの演目のギエムじゃなく、ギエムを単体としてみたとき、限界までそぎおとされた美を感じる。
そのあたりは確かにギエムは日本的なところはあるかもしれないと思いました。
彼女のインタビュー(マドモワゼル・ノンとはよく言ったものであり、パンフレットにほぼインタビューなかったよすごい)で、日本の京の美に出会わなかったらもっと違ったものになっていたでしょうみたいなところがあって、よくある外人日本賛美なのかと思ってたら、ガチ過ぎておおおおと思いました。
だいたい自分のファイナルに日本を選ぶって信じられる?

TWOはそもそも割と遠いところから見たのがよかったんだと思うが、とにかく光と闇のコントラストが美しい。
最初の、ポーンって音が好き。すっと入って行ける音。
なんでTWOなんだろうね。題名。あんまりそこは知らない。
闇を斬り裂く、闇の中にたたずむ光。般若心経みたいだ。



そんでもってボレロです。
ボレロを見るために2/3以上の気合を入れたといっても過言ではないけど、ギエムにとってもそれくらいの気合なんじゃないでしょうか。と勝手に思いました。
ボレロはシンプルで恐ろしくダンサーが透けてみえる、という評価をもってして見る曲目だそうですが。
集中してみるよねボレロを。
双眼鏡を使用してみて、そうすると彼女がものすごいおばあちゃんというのがわかる。なのにSCMの張りはとても美しくて一体どんな体重制限と運動をするとこんな体格(まるで鳥ガラ)になるんだって思った。そしてその筋肉と皮しかないような体が自在に跳ねまわっている感じ。
神に対して(言い方おかしいかな…超越した次元の者に対して、という意味)手を希うけど同時に重力にとらわれるその対比が好き。知らないけど。私の中での受け取った妄想ですから!
だけど途中で少女のような姿勢を見せることがあるんですね。ああもう可愛らしい。
パンフレットにギエムの歴史年表があるんですけど、10代の頃のギエム無茶苦茶天使みたいに可愛いよ。
なんだか基本を忠実にやるだけでその技の完成度が高ければそれだけで美しいみたいな台詞があった気がするんだけど、それ。
だってこの公演全くお金使ってないよ?音は録音だし服装はシンプルだし。
そのシンプルさが奇妙にマッチしていて好きだ。

他のも完全に現代音楽じゃん。武満再び…と。私武満の曲聞くとその中で3人くらい人が死ぬから。妄想で。
バレエはフィギュアでも学ぶけど、芸術と競技という受け取りの差が私には大きかった。ただ美しいと感じていられるだけでよくて、転んだだのエッジがだのリズムがだの点数考える自分が嫌だから。
元々エキシビが好きだったし、NHK杯の花は咲くを病院の待ち合いで見たとき、とても静謐で尊くてきれいだったので、あの羽生結弦は好き。あれは芸術だしいくら積んでも見たい。

すごくどうでもいいけど、同じ会場でミュージカルみることもあるのだけど、ミュージカルファンが幕間にトイレにダッシュしたり、すぐメモ取ろうとしたり、ということがまったくないバレエファンの階層面白いなあと思いました。