雨宮兄弟と里見十九郎と和泉希沙良

オーラバが再度電子化しているのがうれしい。

ところでオーラバもめちゃくちゃ面倒くさい男がごろごろ出てくるというとてもオタクな話ですけど、その中で一番めんどくさいさいがしのぶさんという人は置いておいて、最大級にわがままこじらせた里見十九郎さんという人がいます。
里見さんにはサトミストと呼ばれる女たちがついていたことくらいまでは知っていますが、まあこの間(この間というかブログ見たら去年やった)白月をもって一応の終わりは迎えました。希望と再生で終わってうれしい。

久しぶりにオーラバ読もうと思ったのはふと考えたらこれ里見十九郎は雨宮雅貴属性で、和泉希沙良は雨宮広斗属性じゃないかと思ったのです。
いやキャラクタというより関係性というか。キャラだけで言ったらきーさんは雅貴(女にもてる)だよね?でも希沙良のわがままなところと自分を好きなところは広斗に似てる。

実の家族との仲が険悪で十九郎にずっと育てられてきた希沙良。希沙良は十九郎にずっと依存してきたと考えていたけれど、早々に十九郎は自分が実は希沙良に依存していたことに気づいていた。十九郎本人のプライドの向き先は忍さんだったからなんとかそこまで一致しなかったのはとてもよかったけど、そうしたら今度は十九郎自身の能力の消失と、それと同時期の希沙良の能力の開花に、能力的な問題まで希沙良への嫉妬とかぶってしまう。
頼られる自分を確立してきたタイプの男にとっての、存在意義の欠如とともに、十九郎はわがままを通す。
今までずっと本当のことを言わずに甘えさせていたのに、「助けてくれ」ともいえるくらいだったのに、「もう疲れた」と本気になって希沙良に言ったことで、希沙良の受けたダメージが強すぎて、十九郎を取り戻そうと動けなくなるのはわかる。
希沙良は自分の十九郎に対する正の影響力を信じれてないから、「もう自由になる」ことのできる十九郎をとどめることができない。
ここで希望をたちきってしまえるところが希沙良さんだしその1秒後に後悔して立てなくなるのも希沙良さんだよなとは思います。十九郎は自分とは違うから思考も幸せもなにもかも。希沙良が関与できる範疇ではないということを。もっと前に希沙良は知っておくべきだったのだ。

ハイローの原作じゃなくて!あくまで原作ではないが!
雨宮雅貴も自己肯定の無駄な低さがあり、そのたびことあるごとに「おにいちゃん」という言い方をする一方、あれは広斗が決して聞かないことで成り立っている関係でもあると思う。決して広斗がたわごとを聞かない一方、MUGEN戦・源治戦でもわかるように、広斗は本質では雅貴を兄、兄というよりも自分よりも優れた人間だと知っているしそのように動く。
あのやりとりは兄弟のただの戯れであることはたぶん誰もが知っている。
そのうえで、復讐に走る兄を止めるのもまた弟だけれど、兄が一人、尊龍の遺体にすがることもできずに雨の中で泣くことも容認した後にあれができる弟は強い。
だって雨宮があのまま上園殺して暴走してむこうに行ってしまったら、その雅貴と対するのは広斗だったわけでこれ白月じゃないですか。
最初は忍の命令で一緒にいてくれただけだったかもしれないってなんで希沙良思うかな。でも広斗も最初は尊龍とか両親のことを考えて雅貴が「お兄ちゃん」やってくれたって思わなかったかな。ねえ?
それでもうお兄ちゃんやめたいって雅貴が言い出したとき、広斗にそれは止められるだろうか。結果としては止めたけど。広斗強いな…。
広斗も希沙良も自分の生命をもってして兄貴をとどめていくところあるけど、兄貴ズも重いからバランスとれててよかったね。
最終的には兄貴ズは絶対自分を見捨てないし殺せないって信じているこの弟ズ強い。
そのうえで兄貴を間違ってるってぶん殴れる力と精神を持つ弟たち健全すぎるけど、その弟を育てたのは兄の深い愛と思うとこの兄弟ズ本当に強い。
すべてを放り投げて忍さんのためとか尊龍のために動こうとする十九郎も雅貴もいるけど、その一方で愛を注げる相手もいるから。
知らなくてもいいと勝手に決めつけないで、もっと話そうよ。
楽しかったころ。いつまでも自分と同じものであって、そして無力で自分だけを頼ってほしかったあのころ。
愛と独占欲の境目だけどそんなの誰もが持ってるから大丈夫だよ。
だって希沙良も広斗も、一緒に帰ろうって言ってくれるでしょ?

十九郎は幼い時に神ではなく人間である忍に助けを求められた時点ですべてを彼にささげようと思って、そこから理性的に周囲も自分も駒として考えてきたけれど、その敬愛はフルバのしぐれさんからのあきとさんに似ている。似ているけど十九郎はすべてを放り投げてでもかなえたいと思った願いだけもって自分を犠牲にもできるからしぐれさん並みのエゴイストとはまた違うよ。
十九郎はすごい忍さんに報われてるから駄々こねたかいがあったというものですよ(拳を合わせられなかった雨宮雅貴の話はやめろ
それでも愛していたよ。最後まで。