日出処の天子

夢殿にこもっている王子はまるで引きこもりのオタクですね!(笑顔)18歳ってそんな年頃だよね。

夢殿は結局王子にとって何だったのかと思うと完全に彼がヒッキーに見えるので考えるのをやめます。まあ彼は時々全力でお忍びをするので引きこもりというわけではない、よね?夢殿が彼にとっての安息の地であるというよりは、精神世界というか三千世界というか子宮というか…。

 

人間じゃない この二人は人間じゃないと言った駒さんが一番賢かったのよね。なんてこったい。

間人が原因で王子は異能を持っていて、その異能が故に母から人であることを否定された王子は孤独に走った揚句、自分の力のきかない毛人を愛した。と。

あの池での問答は難しすぎて。えっと、彼らではこの先と進めないってことですか?そうか…進めないか…それならそれで仕方がないのかもしれないね…(ぼんやり)王子の毛人への愛は母に愛されなかったが故の自己愛で、だからそれを貫いても孤独なんだよ、みたいな?

毛人が王子に言ったことを考えると、え、直江?と思いました。相手を自分を寸分たがわぬ何かにしたい。あなたを私色で染め上げたい、みたいな…?(なんか違うような気がしてきた)毛人に高耶さんくらいのアレがあったら…と思ってはたと気づく、そうか布都姫は美奈子か!あの三角関係だけで終わるとこういう話になるのか!

いやそれだけではなく、毛人が王子にとって「人間であるために必要な存在」なら(いやそれはそもそもたぶん母から与えられて人は人として以下略なのにそれがなかったからっていう解釈でいいのかしら)、毛人がいなくなってしまったら、「孤独に生きていく」しかなくなるわけで、「耐えられぬはずがない 今までもそうだったのだから」っていうことになって、人間ではなくなっちゃった。最初っから日羅も「その童は人にあらず」とか言って、でも淡水が「人でないなら神か」と聞いたのに「神でもない」と言ったし、正しかったんじゃないかそれは。

…なんかロシエル思い出した。ロシエルとカタン。ロシエルも周囲の人間を皆操れるからこそ、そうではないカタンを大事にして還りたかったのよね。カタンが毛人的存在なんだから、毛人が王子に答えてたらよかった…のか?

でもそんな未来に毛人はNOを突き付けたわけで、いやだがしかし、毛人の中の王子とまあやっちゃったり酔って色々しちゃったりする王子はずっと毛人の中にいるはずで。

超能力者としても、二人が一緒にいることはたぶん自然の摂理も越えてしまうことで、それは仏教的に毛人が拒否したのか、それとも「わたしはあなたに抗えない」からこそ一緒にいたらエラいこともしてしまうからこそ離れたのか…あれこれは20巻の高耶さん。シなきゃいいのにせずにはいられないんだもん、みたいな?(急に話が低俗になりました)

「あなたを愛していると答えられたらどれほど楽か」というのはなんというか直江の命題でもあったような気がするので、…400年くらいお互い修行すればいいかな。そういえば王子の自己愛、母から愛されなかったという不信の根底は(きっかけは違うにしろ)高耶さんに似ている。

 

しかし私がこれを最初に読んだのは小学校3年生の時で、まだまさかこれが有名なホ●とは思いもしなかったのです。

女が嫌いだの、女という種族が駄目だのというのは性格的に苦手という意味だと思っていたのですね。漫画なのにどうしてそこまで誤解が出来るのか自分で自分に尋ねたい。

だいたい最初にあの部屋に不用意に入って王子の一部が毛人に入っちゃったことが原因じゃないのか。

王子はアダルトチルドレンというのはよく聞く話ですが、王子は大人になれないわけですよ(最終的にはまあなったか、それでも相手は間人さんの具現)。細っこくて飯を食わないで、アレなことも結局自分への愛に終始した(毛人や間人は自分を理解してくれる存在だと思えば)。

 

あと誰より怖いのが淡水。彼は結局王子が好きなのか。いや好きなんでしょうけど。王子に大王になってほしかったし、王子が我を忘れた2日間××ってたのもわかるけど。

そういえば最初弥勒仙花かと思ったって淡水言ってたのよね。そうか布都姫に出会う前は毛人も王子と同じ存在だったのか。

 

そして母が女であることをどうしてそこまで嫌いなのかもようわからんかったです。えーだって別に田目との間に子供が出来たってかまわないじゃんね?そこまで嫌悪しなくても。というかそうじゃなきゃあんたも生まれてねえよ!(このあたり私は妙にフェミニズム的なアレがある気がします)

間人もそういえばどうして王子を愛せなかったかって結局自己愛ですから(自分の中の異能を認められずに、その異能の体現者である王子を嫌った)、似た者親子すぎますよあなたたち。彼女は逃げちゃって平凡に生きようとした人で、彼は受け入れて平凡を捨てた人なんじゃないか。

>>わかった。そうか。厩戸的には、息子にもなる男とだったらよもや母もヤらんだろと思ってて、心かき乱されることはない、お母さんはずっと母なんだと思って、あの結婚を推進したのに、まさかそんな血筋の男とも平気でヤろうとは、と二重のショックだったんだな。

 

そういえば最初に読んだ時年齢的な意味で刀自古が物部の残党に何をされたかもわからなかったのです。今思うとなんてことだ。

子を堕ろすってなんだろうみたいな…。刀自古も毛人を愛して王子を愛して報われない想いを抱えて、宝だなんだと作っていくのかと思うと、女として一番哀れ…?な気がする。え、女としてではないけど一番哀れでないのは額田女王です。女としては哀れだったけど、彼女はそれこそ讃良並みに強かった。

 

ちなみに調子麻呂と淡水の関係もよくわかってなかったですwあいつら異母兄弟でしかもほ×って。

やはり一番素敵な男は羽嶋殿ですね!(結論)

 

一回布都姫とのなんやかやがあって毛人が超憔悴してた時、彼王子の前でぼーっとしてたっていうかいっそ悟り開いてたよね。でもあれは王子と一緒だったからなのかしら?

じゃあ毛人がいなくなってからの王子も「何かに漂白されて」というよりは悟りだったのかしら?仏が何者も救わないのに、子を残せない自分も見るのに。滅亡すら見えるし国の行く末も見えるのにそれでもやるだろう、と。

 

馬屋古女王。うまやって音は一緒なのね。

それにしても間人と王子を合葬することを王子が望んで、毛人も承諾したってあたりがなんとも。え、ええ?王子が望むとも思えないけど、毛人さんあんた。あんたねえ。

田目と間人の間に生まれた佐富を毛嫌いしたとか…えーもう王子全然悟れてねえ。ていうか毛人もひどいものがある。彼らの愛憎劇に巻き込まれるとはもうなんというかですね…。

王子の墓は空で、彼はその手で自分の一族を終焉に導かずにはいられなかった、と。

馬屋古は王子で、山背は毛人と見てもいいですが、王子の本能に従順となると要するに超能力使い放題ということで、もし彼ら二人がくっついたらこうなったというような未来でもあるんじゃないかと。でも王子は癒したかった(このあたりが母性を思わせてたまらん。王子はそうなりたかったのか)し、毛人は蘇我の総領息子としての自分から逃れたかったところがあって、それが色々うまくマッチしたのが馬屋古と山背と思えば…なんで王子は滅ぼしちゃったのかしら?(あれ?)

で、この中で入鹿はなんだか布都姫の具現とも思うけど、むしろ夢想世界の毛人が山背で現実の毛人が入鹿、となったと思います。

そうすると王家の終末をある意味入鹿がもたらしたことまで考えると、あー発展性なかったな確かに、と思わんでもない。いや入鹿じゃなくてこの話の中では王子がもたらしたのか。あれ?(まだよくわかってない)

 

しかしこれは白泉社から出たと思うと感慨深い。そりゃあ天愛だって余裕です。素晴らしいわ花とゆめ