親猫は恋に落ちる

親猫は恋に落ちる (コバルト文庫)

親猫は恋に落ちる (コバルト文庫)

 

「俺と水城を間違えたー!?」

そこから全ては始まるのですよ。久住にとって、芳が間違えるというのはそりゃあショックだったと思いますよ。しかも自分の欠点を全部ひっくり返して美点にしたような男。

まあ最終的に水城も割とイカれてるという疑惑が私の中に生まれましたがそれはそれ。

芳だって晶と間違えられたと勘違いしてマジショックを受けたはずなのに。言うなよ。

 

芳は本物で、久住は理屈だけ頭に放り込んだまがい物にすぎない。ときっちり指摘した水城さんは過去のあれこれを差っ引いても完全に合理主義者です。うんやっぱりイカれてるよ。

ううんでも潤曰くの「猿が猿人へと進化したようなもの」そこまでの成長ならすごいよね。

そこまで考えられるようになった久住がすごいと思うし、そこまで努力した芳さんの愛情は本物、って。

芳さんの愛はどっから来たんだと思いましたが扶桑の血だな。(美弥子さんと潤がアレすぎてねえ)

「潤は本物しか要らないって喜びもしなかった」なんてやつだ。

「なかなか面妖な光景でした」

傲慢の極みの潤が、見るに見かねて、代わりに公平と歌ってくれなければ、その場を取り繕うこともできないほど、久住は茫然自失してしまったのだ。

潤は公平を好きだと思いますよ、葵に似てるし。(え)そして冷徹な傍観者で助言者だからこそ、時に断罪者になる。

あ、あと晶さんは天使ですね!自ら恥じるようなことを、それでも言いきって生きる強さが美しい。

 

今日モンラッシェを飲んだ私にはなんだかどきどきするような話でしたよ。そんなに高くないよあれ!頑張って久住!

理解できなくてもね。いいと思うのです。というか公平と一緒に久住を育てるってどっかで…あーマリリンがO2とルシファを諸共育てようとしたあたりの話か。

でもどこでも子供を持ったら自分のものをすり減らしていくもの。アガペーだなあ。

いつも自分は間違える。

「俺は…ダメですね」

「妙にぐるぐるしてるけど、それもお前には必要なのかな?」

直江か。でも直江のあのぐるぐるも確かに必要だったと思えば、…そうかもしれない。無駄なものはないのだな。

ただ久住が他のことに心を動かすことが、芳を一時でも忘れることだというので出来ないなら、春はまだ遠そうですね。

 

南部の男たちは皆、そうやって朝子を守ってきたのだ。

朝子さんに会いたくて読んだと言っても過言ではないです。家族のお姫様で一生をおままごとで生きる。

…いやあしかし朝子の息子が芳と晶で美弥子の息子が潤とは。たどる道の差に涙が出そうです。

 

にしても悲しいくらい公平がしっかりしています。父がアレだと息子がしっかりするいい見本。すぎる。