ドン・カルロ メトロポリタン・オペラ2011

名古屋にMetが来る!というので、去年の夏?秋?くらいにチケットを取った公演が、今日ありました。

未曾有の大震災の影響もあり、キャストは大幅変更。

これは詐欺だろと思った人もいたんじゃないでしょうか。私も正直自分でチケット買ってたらキレてたと思う。

名古屋の芸文の5階席で、高きこと山の如しな場所で、チケット代金は¥24000。去年のザルツの席といい勝負な値段。

ドン・カルロのキャストとしては、まずは主役、カルロがヨナス・カウフマンから変更になりました。

これでチケットが流れたんじゃないかなと思ったりしています。

そしてネトレプコが降りたためにエリザベッタがバルバラ・フルットリから変更。

このあたりから、色々と諦めモードで当日を迎えましたね。

さて大ホールに着くと、入口でパンフレットを配っていました。今回はまあこのように色々あったので、そうでもしないとマズかったんでしょうね。

今回は席の料金が高いわけでして(当方学生です)、5階席でしたので、そのような感想となります。

そして予習の感想がこれなので、先にどうぞ。

申し上げたいことは前回と同じ、真っ当な感想ではありませんので、すみやかに貴婦人方はお帰り下さい。

さて、いきます。

直前に色々変更があったからか、ピーター・ゲルブから一言ありました。

にしてもっては思うけどね。この状況でこの日本に来ることがどれほど大変だったかなんて知りませんが、うちらその日本に住んでるんですよ?日本以外の国で「日本に頑張って行って成功しました、復興に励む日本人の力になれば」とかなんとか言えばそりゃ美談だと思いますが、日本にいる人になんてーかおしつけがましい。あんたらが来てるのはビジネスでしょうが。日本人は普通に余震もあれば内部被ばくもあるような状況下で今生きてるんです。しかもここは名古屋ですよ。

レヴァインの降板は本人の体調でしょうが、カウフマンとか国的なアレもあるんじゃないかとかいう気になるし、情報はあるんだから、言うことは、「予定通りでなくてごめんなさい、でも出来うる最高のものを用意しました」でしょ?それだけでいいじゃん。

あと通訳がへたくそすぎました。

レヴァインを楽しみにしていた、というのはありますが、それでもファビオ・ルイジは好きです。

さて、大きな感想。

ルネ・パーペに抱かれたい(いきなり変態きたー)

私はどちらかと言えばテノールよりバスが好きなので、オケを超えてなお響く奇跡の音にうっかり妊娠しそうになりました(素直にしびれたと言え)「黒いダイヤモンド」は伊達じゃない。

そしてキャラ的に好きなロドリーゴ。もちろん素敵でした。ホロストフスキーも好きですが、それを超えてパーペが素敵だったの…!(うっとり)

マリーナ・ポプラフスカヤ(エリザベッタ)もパーペとのduetは倍音が聞こえたくらいやし、嬉しい誤算だったのがエカテリーナ・グバノヴァ。エボリ公女役で、私全然知らない方だったのですが、なんかこう、一番パッションがすごかったと思います。

「共に生き、共に死ぬ」

これがね…全然合ってなかった。ロドリーゴ総受け伝説の始まりとしては(言い方がひどい!)やっぱり綺麗に決めて欲しいのよね。

ヨンフン・リーの音量が小さかった。彼はソロだとまだいいんだけど、重唱やオケが入るとまったく聞こえなくなると言う弱点がおありです。ここは指揮とも合ってなかったし(たぶん)

その代わりこれが終わって次に出てきた時は、堂々として音量も2倍くらいになってました。ソロだといいんだよね…

「美しいサラセンの宮殿の庭に」

エボリ公女、ああいいなって思った最初。テバルド(レイラ・クレア)とのあたりが好きです。

「ひとり寂しく眠ろう」

だからそんなに寂しいなら私が傍にいるよ!!と絶叫(心の中で)。ルネ・パーペ最高っすね!!

そのあとの宗教裁判長はステファン・コーツァンで、彼も結構楽しみにしてたんですが、でもやっぱりオケに潰される時があって、(ああ本当に大ホールって小さいんだな)パーペ様最高(もうこれしか言葉がない)

「むごい運命よ」

私は私の美貌を憎むわ、というのが衝撃的すぎるアリア。グバノヴァは、技術的には引っかかるところもあったけれど、なによりパッションがすごかったです。ここ。

「世のむなしさを知る神」

この頃のポプラフスカヤは本当にお母さんのような天使でした。

でも私はやっぱりあの終わりは納得いかん。あ、カルロが最後、カルロ5世の方にふらふら入って行って終わり、でした。

しかし芸文というのは(それ以外もかしら)息継ぎの音がよく聞こえること。

足音もどんどん聞こえました。木、ってもろいんだね。

モブの雑唱っぷりがどうもね…。3年くらい前にメトで聞いたラ・ボエームではそんなことなかったのに。

あと、客席マナー。途中でアナウンスしていたくらい、オケがまだ演奏している状態で拍手する人が多かったです。しかも4階席とかそれより高い席で。

基本的に皆誰かが拍手し始めたらするだろうと言う感じだったのですが、5階席とか普段オペラ聞かない人がじゃあちょっくら聞くか的な感じで来て間違えて拍手した、って感じだからまだわかるんですけど、それより高いお金出して何考えてるの?と。オケも聞きたい人はいるわけだし、なにより余韻を大切にして欲しかった。

その辺の歌手のライブじゃないんだよ。

私は日本で外国のオペラを聞くのは初めてで、メトやザルツやプラハとかそのあたりとはまた違ったものを感じました。難しいものね。気分が違うんだよなあ。

でもあれだけ事前の情報がアレだったのと比較したら、総合して満足でした。

これで5000円くらい引いてくれたら満面の笑みでいられたのに!!