月の裏側

 

月の裏側 (幻冬舎文庫)

月の裏側 (幻冬舎文庫)

 

 

柳川に行くにはやはりこれを読まねば!と友人から強奪して読みました。

恩田陸は少し前は本屋大賞を取るくらいまともな本(オチがあるというべきか)を書いていたのですが、ちょっと前の球形の季節とかアレだしこれもアレだし、友人の話からすると最近もアレな感じらしいので、これが彼女の基本スタイルなんでしょう、うん。

恩田陸が万人受けするとはまったく思いませんが、少し一般向けするもの書いて名前売れたからふっきれたように好きなように書いてるのもまたよし。

ちょっとこのオチがないというか救いがないというか結局何も変わらない感じが、西洋骨董洋菓子なんたらに似てる気がします。よしながふみさんの。あれも最終的にトラウマについて解決した(読者的には)けど、やっぱり悪夢は見るし生活能力はないままだし、まあでも急には変われないから生きて行くしかないぜよし今日も頑張ろうって話だった、気がする。たぶん。

 

で、月の裏側です。

わかる人にはわかるのでしょうが、私はここ2月意識の高い理系の学生(※バンドなんて将来社会にとってなんの役に立つのとか真顔で言っちゃう)に囲まれていたのでなかなかついていけなかった。いかんいかん。

 

最初に読んだ時はね、もうコンビニで、皆が同じ顔してるってシーンにぞっとした。そのぞっとした感覚しか覚えてない。

 

なんでそこでゴム靴脱いじゃうし!!!!(高安な)

あとたぶん私が思うに多聞さんは盗まれてない。「あれ」が、「あれ」の意志で、一つになりたくて仲間を増やしてるなら、たぶん多聞さんみたいな人は、ぺっ、されてしまうのではないでしょうか。

藍子さんはこれはついに多聞さんに振られたことになるのでしょうか…。長い片想いだったねえ。

彼女は最終的に「自分こそがマジョリティ」という思考で自分を安心させていくのでしょうけど、カメラ!鳩笛!!おおい!!!

鳩笛もねえ…いざ柳川に行ってみると、鳩笛はびっくりするくらいマイナーでした!最近20年振りくらいに作られたそうですってちょっと待て。恩田陸すごい勢いで着想したねまた。あ、でも鳩笛が「あれ」の声で、それを藍子が懐かしく思えるということは、柳川の人たちと共鳴したってことで、ただ多聞さんと共鳴したって言うのも素直に読めばそうなんかもしれんけど、私は敢えて多聞さんは「盗まれて」ない説をおしたいので、ここではなしと言っておく。

 

新刊が多聞さんが絶望に浸るというなかなか素敵な話らしいので読みたいです。

多聞さんがおばさんと船頭さんとお話してるシーンが好き。ああいう、誰もいない街での、奇妙な瞬間って好きです。

 

しかしタイトル。というか多聞さんの夢。「月の裏側に行けば、あいつらは月の引力にひきつけられて」なんですか!気になるよ!割と何も関係なかったと思うのだけど。。ざーっと読んだだけだからかしら。。

 

友人曰く、「恩田陸は自分の作品がノスタルジィと言われると違和感を覚えている」らしいのですが、私には少なくとも月の裏側のどこにノスタルジィを覚えればいいのかわからなかった(真顔)これホラー。