ねじの回転

ねじの回転 (上) FEBRUARY MOMENT (集英社文庫)

ねじの回転 (上) FEBRUARY MOMENT (集英社文庫)

 

 

恩田陸すごい。

正直明治以降の興味がなかった時は、2/26がどうであれ、ふーんまあなんだかんだいって軍部が力持ってたんだろう?くらいの気持ちでいたけれど、そんなことないわ。どんだけ衝撃的な事件だったかを知ってからねじの回転読み直すと、その迫力と、この事件をSFと絡めてきた恩田陸の筆力に感動する。

ていうか一応まとめてきたな恩田陸。彼女の最近の作品は結論をぽーいするから(まあそれはそれで好きだけど)、よかったこの時代に書いてくれてww

 

チョイスも割と絶妙。

まあ栗原はともかく(おうい)、安藤はねえ…ほんと人格者…。思うに大山とかそういうたぐいの人じゃないかしらこの人って。安藤いなかったらさすがに成り立たなかったろうしねえ2・26。

あの時に行動には結果がともなうとわかりきっていてそれでもしたのは安藤が筆頭だったと思う。あんまり磯部とかも考えていないよなあ。

真崎はなんかよくわからん。。あの人がひっかきまわしたと言われたらそれまでだけど、狂気ってものがないのよね真崎には。維新を仮にもあげたからにはいくばくかの狂気があってしかるべきだとは思うんだけれど。(それは幕末の影響ですね)なんだろう…あの天皇家がなんぼのもんじゃい!っていう力がない。日本史をひも解くにつれても「天皇なんぼのもんじゃい」という勢いで利用したり当の陛下がその地位を利用したり(へんな言い方だけど要するにあの法皇とか上皇とかそういうの)して活きてきたわけで。くーちゃんは蛤御門でそんなに陛下中心じゃないと思います。

莞爾は結構2・26では働いてたと思うけどなあ。そういう実行処理能力は高い男だ。はえーよやることが。ありがとう杉山。あなたが止めたらか2・26での莞爾はわりとまともです(そうか?)(でもかっこいいよねあの奉勅シーン)(妄想)

 

たとえばだけど、あの時点で石原莞爾が、東条英機を殺害していたら。(完全にどさくさだよね)

想像するだに怖いよ!確実に日本焦土以下ですよ…ってああそうかそれで州旗である日の丸なのよね…。ほんとあの時テンション高めの莞爾さんを左遷するだけの脳はあったのよね幕僚たちも。

たとえば選ばれたのが磯部だったら、いやまあ無理ですよね。普通にどっかで破たんするわ。真崎だったらどうだろう…彼に与えてもしょうがない気がする。流されるぞあれは。

 

それに2・26事件がどうのこうのというか、明治から続く派閥闘争としての宇垣派と上原派の戦いはおこるべくしておこっていたことだとは思うし。そしてガタ閣下がなくなった以上人事の争いは悪化すると思うし。陸軍は満州はゲットしておきたかったと思うし。そうしたらやっぱり中国の活動家たちもでてきたと思うし。軍縮は仕方がないし断行した加藤はまじ頑張ったけど、海軍はともかく陸軍がいうこときかな…あ、5・15があったわ…海軍も駄目や…。

歴史はどこかひとつを動かしたからといって、きれいに動くものではないでしょうけど。

たとえば誰かを殺したとしたって直接的に変化はなくて、だけどじわじわ間接的な変化をもってして歴史は報いてくるんだよと思います。

北一輝殺したってたぶん誰かが皇道派の思想をひねり出したよ。

 

今をもってして謎とされる「真意」と「行動」。山下のしたことなんでしょうかね。だれがあおったかっていう。でもあおられたって何もなかったよね結局(そんなことはないかー)でも彼一応皇道派だったわけで(ていうか結構な過激派だよね?)。

 

HIDSがねえ、2・26を改善してもどうしようもない気がするんですけど。

AIDSが今撲滅できてない日本がいうことじゃないが。

さかあがりができないんだ。

こういうマツモトのような若者をほんと安藤好きだよね(妄想です)