百鬼夜行 陽

 

 

定本 百鬼夜行 陽 (文春文庫)

定本 百鬼夜行 陽 (文春文庫)

 

 

京極を売ると決意したのになんで未だにうぶめ読んでるんだろう。。うぶめの完成度高い。

今の著者近影と比較するとずいぶんといけめんのやせがただったのね。

 

特設サイトがあります。いつまでもちゅうに感が漂っていて私は嬉しい。

京極って直木賞山本周五郎賞もとってたのか。

 

「人間はいい加減なものですから、理屈では割りきれないような感情を抱いたり、常識で量れない体験をしてしまったりすることもあります。」「やり過ごすこともできなければ決着もつけられない状態に陥ることがある。そうなると、現実の方をねじ曲げてでも無理に決着をつけようとしたりしてしまう。そういう時ですよ、人が何かに『憑かれている』というのは」

「ラストを榎木津の話にするというのは、早い段階から決めていました。対になる『百鬼夜行 陰』のラストが関口の話なので、『陽』は榎木津にしようと。でも榎木津の一人称は書けないんです。内面のありようが常人とはかけ離れ過ぎていて、そのまま書いたらおそらく意味が分からないものにしかなりませんね。『目競』は探偵になる前だし、三人称にしてかなり距離をとったので、なんとか書けましたが」

「いつまでも後ろ向きな思いに浸っているわけにもいきません。そんな時、妖怪は役に立つ。哀しい出来事や辛い現実を妖怪というキャラクターに托せば、笑ったり小馬鹿にしたりできる。そうやって、ネガティブなものごとをポジティブに変換し、共存していこうということですね。そういう心の動きが妖怪を生みだしたんです。妖怪の多くは悲惨な背景を持っていますが、キャラクター化することで滑稽なものに変わる。退治もできるし祓い落とすこともできるんです」

「日本人は物事を概念化することに長けている。江戸時代の戯作などを見ると、『楽しい』と『哀しい』を喧嘩させたりしています。」

 

このインタビューだけで十分面白かった。

 

 

『青行燈』平田謙吉

いるはずのないきょうだいに悩まされる伯爵家の管財人(『陰摩羅鬼の瑕』)

もう誰だよ感がすごかったのですが、あの由良のおうちを京極堂と一緒になって片付けてる人ってことでいいのですね。

しかしいもうとなんていなかったんですか。。そうですか…。(オチがわかってない人)

 

『大首』大鷹篤志

性欲にまつわる背徳(うしろめた)さに苛まれる刑事(『陰摩羅鬼の瑕』『邪魅の雫』)

大鷹さんは信じてたのに!!

というか私不意に思うのですが、こういう日本的エロ話を読んだ作者の奥様ってどういう感想を抱くのかな。。

 

『屏風闚』多田マキ

娼婦あがりの老婆を覗くのは何者か?(『絡新婦の理』)

屏風のぞきっていつも、しゃばけ思い出します。

 

『青鷺火』宇田川崇

光る鷺を見た、田舎に疎開した小説家(『狂骨の夢』)

関口目線だったかか、私の中で宇田川があまりに「善意の被害者」でしかなかったことに衝撃をうけた。

 

『墓の火』寒川秀巳

植物学者だった父の謎の死因を求めて、日光へ(『鵺の碑』 coming soon!)

『蛇帯』桜田登和子

蛇が怖くてしかたがないホテルのメイド(『鵺の碑』 coming soon!)

せっちゃんメイドしてたんですか。

で、いつ出るの??(^^)

 

『目競』榎木津礼二郎

人には見えぬものが見える男は、なぜ探偵になったのか(『姑獲鳥の夏』以下全作)

結局なんで「探偵になろうと思ったか」については一言も触れられていなかったところがさすがのエノさんでした。

兄も父も馬鹿で、皆馬鹿だけど、見えてる世界を視てるのはエノさん本人で、意外に世の中は面白いのかもしれないし、面白くできるのかもしれない、というところまでは思考回路は理解できた。

面白きこともなき世を、だ。面白う生きるだ。

だけどなんでそこで探偵になろうとしたかなあとは思う。

まあ実際あなた自身が面白いんだけどな。

御父さんの「困るのかい」「人は皆ちがいますからねえ」がいい。今度外来で使ってみた…ry