魍魎の匣

 

魍魎の匣 (講談社ノベルス)

魍魎の匣 (講談社ノベルス)

 

  楠本頼子は、柚木加菜子のことが本当に好きだった。 

この一文が好きな友人もどうかしています。私と非常に趣味があっていることを考えると水鏡という言葉が思い浮かびます。

「楠本君、せいぜい月の光をあびるがいいよ」

中二病をこじらせたような頼子ちゃんはともかく、加菜子はこのままではいられなかったと考えると、まあこれはこれで、彼女にとっては美しい最期だったのではないでしょうか。要するにぼっちだったんだもんね。中二病を共有した人たちはその後、どれだけ頑張ってもお里が知れると言う点において仲良く出来るものですけどどうでしょう?

それだけぼろぼろでも果たして生きていけるのかというのは疑問に思われるところではある。いや、肺損傷と腹腔内の臓器の損傷があるとそれだけで非常に面倒くさいことになると思うの。戦後でしょ?この間戦時中にしか手術室に入ったことのないおじいちゃんが行っていた、点滴がないから雨水を飲みに術後患者が外に飛び出たもんだとか言ってたから、相応の医療資源しかないと思う。

(ていうかそんな状態でも我々が生き延びてるんだから、ERASもあながち間違いではないのかもしれない)

ところで喫茶店に出入りすることは不良なのだろうか

 

普通の人間からは「もうりょう」なんて言語チョイスはないことを考えると、頼ちゃんの家は意外とちゃんとした家だったのではないだろうか、お母さんとかもともとはお嬢様とかだといいね、夢が膨らみます。

母親が汚いっていうのは阿舎世コンプレックス、一種のエディオスコンプレックスなんだろうかと思ったり。娘が思春期に性的なことを知ったりして母が老いて行くのを自覚してしまうとこういう気持ちになるよね点。

 

エノさんがお父さんを尊敬している件について

「たぶん親父殿は、僕に電話したことも含めて、この件はもう忘れているだろうね」

 

向こう側には、幸せが。

それでも、私はなんだかひどく、男が羨ましくなってしまった。

私はこのラストが好きです、ぎりぎり帰ってきたこの感じが。つうかこの頃の関さんもふらふらしてますけどそれからあれこれあってずいぶんと今はまともになっていらっしゃると思いませんか。

悪党、御用だ。これで木場は安堵している。陽子と普通に話が出来る。

木場さん結局誰と結婚するのさ…。猫目じゃあ駄目でしょ。