バッテリー Ⅵ

だいたいⅤ巻までに巧と豪の物語には決着がついたから、今度はその周囲の人たちの物語、という印象が強いⅥ巻。
巧は以前のままではいられなかったし、豪に到ってはどんどん笑顔がなくなったらしいけど(誰のせいじゃ!)それでも真摯なミットはかわらない。

海音寺ってすごいよね。おミズに対するキャプテン同士の会話たまらん。
門脇と原田という、まあなんというか、お互い様な切り札というかアイテムを持っていて、そしておミズはたぶん原田を見ている(横手に対する自信もあり)けど、海音寺はチームを見ている。人間をを見ている。
野球は人間がやるものだから。
そしてそれを「興味ないか」「うん」だから本当に巧君っては嫌な男!!
皆色んな野球があるんですよね巧さん。生まれながらのピッチャの思考回路は違います。彼どっちかというと原始的な野獣だもんな。
体でわからせてやるよタイプですもんね。巧さん苦労するね。違うか。豪ちゃんか。でも豪ちゃんの苦悩なんて一生巧君にはわからないからそういう意味では巧君の苦労の方が大きい気はするよ。だって相手が何悩んでんのか理解できないんだもん。
そりゃあ惚れた相手とそうでない相手とキャッチャーやる時に差位出るわよ。しょうがないじゃない。
そういう意味で、相手が誰であろうとどういう状況であろうと、最高のピッチングが出来るものでありたいという巧君は発想がプロです。
豪君は嫉妬深い嫁みたいだ。

とか言いつつチャリで2ケツして鼻が折れてないとかいちゃいちゃしている二人意味不明ですけど
豪のいうことを聞き流したことなど一度もないとかもう。
しかもまだ永倉以外に投げたことないから原田が可哀想とか、姫か!処女か!(意味的には役者と監督とかに近いやつね)
海音寺さんの揺らぎさえ永倉への理解にしていくとか原田さんほんと嫌な姫さん
バッターと対することを永倉を通して知るって、世界は永倉が出口なんですか巧さん?

吉貞みたいなタイプのキャッチャーは巧にはしっくりこないだろうけど、でも野球、というかチームの点ではいいよね。そもそもキャッチャーはピッチャーの女房役だろうけどそれだけでもないんだよ。チームの要なんだよ。それを豪はやり損ねたところあったもん。
巧に全力で投げさせるのは門脇の時だけでいいと思うしな。はっきり言って。切り札なんていつも使うものじゃない。時にはフォアボールも必要。

おミズに関しては誰よりも原田厨と門脇厨をこじらせているという最強に嫌な感じでしたけど!こいつ完全にこじらせてる!ラストイニングでようやく少しは昇華できたとか思いましたが。
天才厨をこじらせる天才(に近い男)って嫌ね。周囲の助言はまったく耳に入らなくて。
だいたいおミズはマウンドにうずくまる巧が見たいけど、海音寺は必死になるおミズが見たいとか。
見ている相手が全然違うのはあなたもじゃないですかって言ってやりたくなる落差。

 

バッテリー 全6冊合本版 (角川文庫)